スケールが大きく、多彩な音色の変化で劇的な音楽を届けてくれるピアニストの小菅優。演奏はもちろん、創意に溢れたリサイタルやディスクのプログラミングも注目を集めている。特に2017年にスタートしたコンサート・シリーズ「Four Elements(四元素)」は彼女の哲学的なアイディアのもとに楽曲が集められており、本盤はその完結編。「大地」をテーマに、多岐にわたるプログラムで楽曲の本質を見るような深い演奏を聴かせてくれるが、特に最後に置かれたショパンの「ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調」では、あらゆる苦悩や葛藤の末に見えてきた希望を感じさせる演奏となっている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2022年3月号より)
【information】
CD『Four Elements Vol.4:Earth/小菅優』
シューベルト:幻想曲 ハ長調「さすらい人」/ヤナーチェク:ソナタ「1905年10月1日街頭にて」/藤倉大:Akiko’s Diary/ショパン:ピアノ・ソナタ第3番
小菅優(ピアノ)
ORCHID CLASSICS/ナクソス・ジャパン
NYCX-10267 ¥2750(税込)