音楽監督の名誉市民決定を記念して
指揮者の沼尻竜典が、2021年秋、三鷹市名誉市民に選ばれた。沼尻は同市生まれ、現在はトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニアの音楽監督、みたかジュニア・オーケストラのアドバイザーなどを務める。故郷に深く根差した活動と、それぞれの豊かな成果が評価されての朗報である。
その沼尻と同楽団の定期演奏会が、3月に本拠地の三鷹市芸術文化センター風のホールで行われる。彼らは昨年からシューマン交響曲全曲演奏&録音を進めており、今回は第3番「ライン」を取り上げる。ドイツ・ロマン派作品を得意とする沼尻が、満を持して手兵とともに取り組むシューマン、しかも豊麗な響きが美しい「ライン」ということで、充実の名演への期待が高まる。
前半には、演奏活動60周年を迎えるヴァイオリンの巨匠、前橋汀子が登場し、ベートーヴェンの協奏曲を弾く。記念の年に臨む最高の名作で、どんな境地を聴かせるのか。沼尻にも前橋にも記念の節目となる公演。彼らがいま奏でる音色と演奏姿、しかと会場で体験したい。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年2月号より)
第84回 定期演奏会
2022.3/19(土)15:00 三鷹市芸術文化センター 風のホール
問:三鷹市スポーツと文化財団0422-47-5122
https://mitaka-sportsandculture.or.jp