20世紀の伝説を聴く究極の贅沢
あのルネ・コロを再び日本で聴くことができるとは! もうこれ以外に言葉がない。1937年ベルリン生まれの彼は、バイロイト音楽祭でジークフリート、ローエングリン、タンホイザー、パルジファル、トリスタン、ヴァルターなどワーグナー作品の主役を総なめにし、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場他あらゆる超一流歌劇場に出演。世界最高のヘルデン・テノールとして一時代を築いた。またベーム、カラヤン、バーンスタイン、クライバー、ショルティらと多様なレパートリーを録音し、力強さと甘美な抒情性を併せ持つスーパー・テノールとして、歴史に名を刻んでいる。しかも、2010年バーデン・バーデン祝祭劇場でのティーレマン指揮《エレクトラ》でエギストを歌って大喝采を浴び、今年1月にはケルンで《ワルキューレ》や《伯爵令嬢マリツァ》などのナンバーを披露。地元紙に「今もなお朗々と響くヘルデン・テノールの声で聴衆を魅了」と絶賛されているから驚きだ。
今回は、シューベルト「冬の旅」、シューマン「詩人の恋」他を歌う各リサイタルを何と800席の紀尾井ホールで開催。至宝の至芸を間近で味わう稀有の贅沢を享受できる。さらには『イマジン七夕コンサート(ルネ・コロさよならコンサート)』で、《タンホイザー》や、一方の十八番である《伯爵令嬢マリツァ》《こうもり》《メリー・ウィドウ》などのナンバーを歌い、ワーグナー&オペレッタの名曲が並ぶ公演を華やかに彩る。いずれも“伝説”を耳目に焼き付ける超貴重な機会。ファンならずとも逃せるはずがない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2014年6月号から)
リサイタル★7月1日(火)、3日(木)・紀尾井ホール
イマジン七夕コンサート★7月7日(月)・サントリーホール
問:コンサートイマジン03-3235-3777
http://www.concert.co.jp