鈴村真貴子は東京藝術大学大学院博士課程を「F.プーランクのピアノ作品演奏法」をテーマとした論文と演奏で修了。フランスでも学んだ彼女の演奏は音色と表現の幅が広く、スケールが大きい。プーランクの音楽は“半修道士、半放蕩児”と評され、一曲の中でも多彩なキャラクターがめまぐるしく展開するため、まとめるのが非常に難しいのだが、鈴村は作品の魅力を鮮やかに描き出すのと同時に、説得力のあるものとして聴き手に伝えてくれる。今回のアルバムにはプーランクの様々な魅力を味わえる楽曲が多数収録されているが、とりわけ「15の即興曲」は鈴村の幅広い音楽性を存分に味わえる。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2022年1月号より)
【information】
SACD『フランシス・プーランク:ピアノ作品集 Vol.1/鈴村真貴子』
プーランク:3つの常動曲、「6人組のアルバム」より〈ワルツ〉、2つのノヴェレット、ナポリ—ピアノのための組曲—、プレスト 変ロ長調、ユモレスク、バディナージュ、フランス組曲—クロード・ジェルヴェーズ(16世紀)による—、村人たち—子どものための小品集—、間奏曲 変イ長調、15の即興曲
鈴村真貴子(ピアノ)
オクタヴィア・レコード
OVCT-00190 ¥3520(税込)