時空を超えた音楽言語で表現される動物たち
神奈川県民ホールで2021年度から始動した新シリーズ「C×C(シー・バイ・シー) 作曲家が作曲家を訪ねる旅」。現在と過去を担う2人の作曲家を対比させて両者の魅力を再発見できるシリーズで、第1回「山本裕之 × 武満徹」は好評を博した。1月8日の第2回は「川上統 × サン=サーンス」で開催される。サン=サーンスの「動物の謝肉祭」は、カンガルーや象、時に人間さえもユーモラスにアイロニーたっぷりに描き出す名作。同作に、今もっとも充実した創作を展開中の川上への委嘱新作「ビオタの箱庭」が組み合わされる。
川上はこれまで、動植物などの生態模写を思わせる独特の質感や皮膚感覚に訴える作品を発表してきた。新作には「サスライアリ」「コトドリ」などが登場する予定で、どんな風に音楽化されるか楽しみである。演奏には川上が信頼を置くピアノの阪田知樹、現代作品で存在感が増しつつあるヴァイオリンの尾池亜美などが参加。2人の作曲家が交差する世界を鮮やかに表現してくれることだろう。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2022年1月号より)
2022.1/8(土)15:00 神奈川県民ホール(小)
問:チケットかながわ0570-015-415
https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/