カプースチン作品の満ち溢れるエネルギーが炸裂!

ピアノデュオpiaNA 『1122』CDリリース記念インストアライブ イベントレポート

 西本夏生と佐久間あすかによるピアノデュオpiaNAの新録音『「1122」~ニコライ・カプースチン:4手のためのピアノ作品集』発売を記念して、10月30日、タワーレコード渋谷店でインストアライブが開催された。

 今回の発売記念イベントは、タワーレコード渋谷店のインストアイベント再開第1弾としての開催。コロナ禍で長い間閉鎖されていたイベントスペースに、久々に活気が戻ってきた。

 CDフロントカバーと同じく、大きな花が鮮やかに描かれた衣装で登場したpiaNAは、満席の聴衆を前に『シンフォニエッタop.4』」の第1曲「序曲」から演奏をスタート。曲間には2人の軽妙なトークをはさみながら、「連弾のためのカプリッチョ op.146」や、「2つの楽章からなる協奏曲(ピアノ連弾版)op.30」から Lento Maestoso など、世界初録音となったタイトルを次々に披露した。1台の鍵盤で生まれる西本と佐久間のダイナミックなパフォーマンスに会場はヒートアップしていき、ラストに「ディジー・ガレスピーの“マンテカ”によるパラフレーズ op.129」を演奏。オリジナルは2台ピアノのために書かれた作品だが、piaNAは両手両足、2人の体を激しく交差させながら1台の楽器でスコアを再現、複雑に絡み合う2台ピアノのパッセージを、88の鍵盤だけで描き切って見せた。

左:西本夏生 右:佐久間あすか

 piaNAは、イベントを終えて次のように語った。
西本「お客さんをより近く感じられる今日のようなイベントは本当に久しぶりで、とても感慨深い気持ちになりました。このアルバムが違う国にも旅に出て行って、海外の人たちも聴いてくれたらいいなと思っています。また、普段はクラシック音楽を聴かない人でも、ふと聴こえてきたカプースチンにすごくハマって、『これクラシックだったんだ。クラシックもけっこうイイね』と思えるような、クラシック音楽の世界を気軽に開くトビラになったらいいなという願いがあります」

佐久間「以前は当たり前だと思っていた、お客さんが近くにいてくれる、生の演奏を聴いていただけるという幸せを実感した時間でしたね。今日は、piaNAを結成してからの時の流れを感じたり、カプースチンに会いに行った時のことを考えたりしながら、2人で演奏を楽しみました。今日のように子どもを連れて来てくれるお客さんがいて、自分たちにも子どもがいて、人生の歩みを感じています」

 演奏家と聴衆が同じ空間を共有する歓びと、そこに流れる濃密でスリリングな時間。ゴージャスな音響と、鮮烈なビジュアルに彩られたpiaNAのライブは、音楽がもつ底知れないパワーを久々に感じさせてくれた。

左:佐久間あすか 右:西本夏生

 “piaNAの時間=カプースチンの時間”だと語るpiaNA。昨年、アルバムの完成を待たずしてこの世を去ったカプースチンが2人に捧げたピアノデュオ作品は、これからも彼らによって語り継がれていくだろう。

CD
1122 ニコライ・カプースチン 4手のためのピアノ作品集
piaNA(西本夏生、佐久間あすか)
https://cafe.ebravo.jp/store/products/20003

piaNA
https://www.facebook.com/pianapianoduo