KW50フィンガー・プリンツ 渡辺香津美の世界

デビュー50周年! 秋の軽井沢で極上のギターサウンドを体感

(c)Yosuke Komatsu (ODD JOB LTD.)

 1971年、当時17歳の渡辺香津美がアルバム『インフィニット』で衝撃的デビューを飾ってから50年。今年はそれを記念して“KW50”の冠がついた公演が各地で行われているが、そのハイライトの一つとなるであろう公演が、9月29日、軽井沢大賀ホールで開催される「KW50フィンガー・プリンツ 渡辺香津美の世界」だ。

 “日本を代表するジャズ・ギタリスト”——それはもちろん正解だが、しかしそのひと言で渡辺香津美を総括してしまうには、この人の50年間の活動はあまりにも多彩で複雑で奥行きに富んでいる。坂本龍一をはじめとするジャンルレスなミュージシャンたちと展開した「KYLYN」プロジェクト。その坂本がメンバーだったYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)への参加。ニューヨークのトップ・ミュージシャンを擁して生まれた奇跡的傑作『TO CHI KA』。2つのリズム・セクションを使い分け新しいグルーヴを探求した『MOBO』。

 そんな中、クラシック・ファンによりなじみ深いのは、彼のアコースティック・ギターによるパフォーマンスだろう。1994年の『おやつ』に端を発するこの路線は、渡辺がデビュー前から途切れることなく抱き続けてきたクラシック・ギターへの愛を再活性化、とりわけ2000年に福田進一と出演したハバナの国際ギター・フェスティバルで出会った世界のギタリストたちは彼に大きな衝撃を与え、同時にそのフィールドに惹きつけることになった。

 それが具体的な形を成したのが03年にスタートした「ギター・ルネッサンス」シリーズだ。完全アコースティックによるソロで、バッハを中心としたクラシック曲、ビートルズ・ナンバー、スタンダード、そしてオリジナルを演るというコンセプトでスタートしたこのプロジェクトは、現在までに5枚のアルバムを生み、本人をして「ライフ・ワーク」といわしめる重要な活動の柱となっている。

 そんな彼のソロ・アコースティック・プロジェクトの、現時点における集大成ともいえるのが今回のコンサートだ。本稿執筆の段階でプログラムは未定だが、「ギター・ルネッサンス」シリーズで取り上げられたナンバーはもちろんのこと、この日のために渡辺が選び、練り上げてきた新しい楽曲が披露されることはまちがいない。晩秋の気配漂う軽井沢の自然に包まれながら、最高のギター・ミュージックに浸る——なんとも贅沢な時間の使い方ではないか。さらに加えて今回は、会場観覧者は終演後に、ホールから徒歩15分のホテル軽井沢エレガンスにおいて行われる渡辺を囲んでのアフター・パーティに参加できるという特典もあり、これもファンにはたまらないプレゼントとなろう(参加費別途)。

 なおこの公演はインターネットによる有料生配信(ハイレゾ配信、アーカイブ配信を含む)も予定されているので、会場に足を運べない方は、ぜひこちらで渡辺香津美が織りなすスペシャルな世界を堪能していただきたい。
文:藤本史昭
(ぶらあぼ2021年10月号より)

2021.9/29(水)18:00 軽井沢大賀ホール 
問:ヒルトップスタジオ ticket@hilltop.co.jp 
https://www.kazumiwatanabe.net
【配信あり】通常のライブ配信に加え、ハイレゾのライブ配信(フルHD・96kHz/24bit)も行います。
※詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。 
https://cafe.ebravo.jp/kazumi-watanabe