Michel Corboz 1934-2021
スイスの世界的指揮者、ミシェル・コルボ が9月2日、心不全のため死去した。87歳。1934年フリブール州マルサン生まれ。声楽、作曲、指揮を学んだ。61年には自ら結成したローザンヌ声楽アンサンブルを創設し、ルネサンス以降の合唱曲の演奏と録音活動をライフワークとした。このアンサンブルとの活動は50年にも及ぶ。特に宗教音楽の分野での功績は大きい。
モンテヴェルディの生誕400年(1967)にリリースした「聖母マリアの夕べの祈り」やマドリガーレ集、そしてバッハ「ヨハネ」「マタイ」2つの受難曲、モーツァルト「レクイエム」、ソロにボーイ・ソプラノを起用し、清純で慈愛に溢れたフォーレ「レクイエム」など、主にエラート・レーベルに残した歴史的名盤は枚挙にいとまがない。コルボは、グルベンキアン合唱団(リスボン)、バイエルン放送合唱団、シンフォニア・ヴァルソヴィアと同合唱団(ワルシャワ)なども指揮したほか、ジュネーヴの音楽院で28年間にわたり合唱指揮の指導にもあたった。
1989年に初めて日本を訪れ、その後、音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」にもたびたび来日してフォーレとモーツァルトのレクイエム、シューベルトのミサ曲第6番など名演を聴かせた。今年6月のジュネーヴのサン゠ピエール大聖堂での演奏が最後の指揮となった。