古楽の名技集団とディーヴァの饗宴
隆盛著しいドイツ古楽界にあって、そのトップ・アンサンブルとして疾走し続けているコンチェルト・ケルン。今回は、気品と透明感を兼ね備えた歌声で聴衆を魅了するソプラノのヨハネッテ・ゾマーと共に来日し、ドイツ・バロックの二大巨匠であるヘンデルとバッハの佳品を通じて、人間の喜怒哀楽に触れる。
コンチェルト・ケルンは1985年に設立。ドイツを代表する古楽アンサンブルのひとつに数えられる一方、熱気あふれる演奏で異彩を放ち、埋もれた佳品の発掘にも力を注ぐ。特定の企画では客演コンサートマスターを招いているが、今回は2006年にライプツィヒのバッハ国際コンクールで第2位となった平崎真弓が務める。
そして、故グスタフ・レオンハルトやフランス・ブリュッヘンら古楽界の巨匠から絶大な信頼を得て、数々の名演を披露してきたゾマー。2011年のオランダ・バッハ協会の来日公演でのバッハ「ロ短調ミサ」や、翌年のバッハ・コレギウム・ジャパンによるヘンデル「メサイア」公演で聴かせた美しい歌声を、ご記憶の方も多かろう。
今回は、まず前半で《ジュリオ・チェーザレ》などヘンデルのオペラから、珠玉の名アリアをたっぷりと。そして後半では、名手ズザンネ・レーゲルのソロによるバッハ「オーボエ・ダモーレ協奏曲」に続き、ヘンデルのモテット「風よ静まれ」から「花の冠を与える」「アレルヤ」を披露、さらに合奏協奏曲集(作品6)から第1番を。最後は、“結婚カンタータ”として知られるバッハ「消え去れ、悲しみの影」で締め括る。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2014年4月号から)
★5月30日(金)・紀尾井ホール Lコード:39246
問:紀尾井ホールチケットセンター 03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp
他公演
5/31(土)・三鷹市芸術文化センター
問:三鷹市芸術文化振興財団 0422-47-5122
6/1(日)・兵庫県立芸術文化センター Lコード:52908
問:芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255
※5/31公演はヨハネッテ・ゾマーの出演はありません