真夏に贈る音楽の祭典!多彩なアーティストが集う充実のラインナップ
「第26回宮崎国際音楽祭」が7月31日から8月15日までの16日間、メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)を主会場として開かれる。例年は春に行われている同音楽祭だが、コロナ禍を受けて、今年は初めて夏の開催に。「真夏の祭典〜天地(あめつち)の恵みに祈りを込めて」のテーマのもと、メインプログラムとスペシャルプログラム(各5公演)など、計14公演が予定されている。
1996年春、ヴァイオリンの巨匠アイザック・スターンが宮崎へと降り立ち、響きの種子を蒔いたことから始まった音楽祭。四半世紀の節目となった昨年は、例年以上の盛り上がりが期待されたが、コロナ禍で中止に。しかし、一部公演は11月に振り替えて実施された。「その折、どれほど多くの方が、音楽に強い望みを抱いているかを実感した。今回は、そんな方々の気持ちに、お応えしたい」と音楽祭の総監督・佐藤寿美。音楽監督のヴァイオリニスト、徳永二男も「四半世紀の歴史を胸に、私たちは次の時代を見据え、さらなる前進を続けてまいりたいと思います」と話す。
音楽祭の軸を成すメインプログラムは、作曲家でピアニストの野平一郎の監修・出演による「エクスペリメンタル・コンサート」で幕開け。今回は、気鋭のバンドネオン奏者、三浦一馬を迎えて、生誕100年にあたるタンゴの革命者アストル・ピアソラの音楽世界を掘り下げる(7/31)。
そして、ワディム・レーピンと諏訪内晶子、世界の第一線を行く2人のヴァイオリニストの“競演”も。梅田俊明指揮、特別編成の宮崎国際音楽祭管弦楽団をバックに、プロコフィエフの2つの協奏曲やバッハの二重協奏曲ほかを弾く(8/8)。加えてレーピンは音楽祭弦楽アンサンブルとともに、ロシア・バレエ界最高峰のダンサー、スヴェトラーナ・ザハロワとの共演も披露する(8/9)。
今やすっかり音楽祭の“常連”となった、ヴァイオリニストの三浦文彰とピアニストの辻井伸行も登場。広上淳一指揮の音楽祭管弦楽団と共演し、三浦はチャイコフスキー、辻井はショスタコーヴィチの第1番と、2つの名協奏曲が披露される(8/14)。さらに、広上と同楽団は、前回の音楽祭で上演予定ながら、無念の中止となってしまったプッチーニの歌劇《トゥーランドット》全曲の上演(コンサート形式)へ。ソプラノの田崎尚美と中村恵理、テノール福井敬ら豪華キャストと満を持して臨む(8/15)。
かたや、スペシャルプログラムでは、ワンコインで楽しめる7ステージが用意された「500円コンサートの日」(8/1)や、テレビでお馴染みの俳人・夏井いつきをゲストに迎えての「Oh! My! クラシック」(8/5)、『半沢直樹』や『おしん』など新旧のテレビ番組テーマ曲を、飯森範親指揮の音楽祭管弦楽団の生演奏で堪能できるステージ(8/7)も。さらに、徳永とバンドネオン奏者の京谷弘司によるアルゼンチン・タンゴの夕べ(8/11)、三浦と辻井を軸としたシューベルトのピアノ五重奏曲「ます」ほか室内楽のステージ(8/13)など、こちらも盛りだくさんだ。
また、期間中は門川町でのサテライト公演(8/2)や、子どもを対象としたストラヴィンスキー「兵士の物語」(8/3)の上演などの教育プログラムも。災禍を吹き飛ばすような音楽の爽やかな風が、宮崎の地に吹き渡る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2021年7月号より)
2021.7/31(土)〜8/15(日)
メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 他
問:宮崎国際音楽祭事務局0985-28-3208
http://www.mmfes.jp/2021/
※各公演、チケット発売状況の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。