このような音源が存在していたとは! 2000年の第1弾を皮切りにして第3弾まで存在する岡城千歳による坂本龍一作品集であるが、このたび04年にライブ収録されたままお蔵入りとなっていた録音が発売された。時系列的には前後すれどもつまりは第4弾である。ほとんどは岡城が編曲した版を用いてのその演奏は、オリジナルのそれとは概ね異なった相貌をまとう。大きく言えば、スタティックな佇まいをみせるオリジナルに対し動的で起伏に富んだ岡城の演奏、と言えるか。12曲中6曲に参加している篠崎史紀との呼吸も抜群で、中でも「1919」がアレンジ共々秀逸だ。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2021年3月号より)
【information】
CD『坂本龍一4~ヴァイオリン&ピアノ・ワークス/篠崎史紀&岡城千歳』
坂本龍一:Tong Poo(東風)、1919、Tango、変革の世紀、『シェルタリング・スカイ』テーマ、『ハイヒール』より〈タコネス・レハノス〉、『ラストエンペラー』テーマ、戦場のメリークリスマス、エナジーフロー、ピアノ組曲、オペラ《ライフ》より〈オッペンハイマーのアリア〉 他
篠崎史紀(ヴァイオリン)
岡城千歳(ピアノ)
収録:2004年6月、長野県県民文化会館ホクト文化ホール(ライブ)
Château/東京エムプラス
C 20002 ¥1891+税