【CD】アンシャンテ/フランボワーズ

 可憐なジャケット写真に、惑わされてはいけない。彼女たちが創り出す響きは、しなやかでありつつ、しっかり骨太な側面も併せ持つ。東京音楽大学卒の遠藤夏季と、フェリス女学院大学卒の中川彩が、2015年に結成したピアノデュオ。ローゼンブラット「コンチェルティーノ」が纏うジャジーで洗練された雰囲気も、本邦初録音となる、ピアノ連弾版のドホナーニ「五重奏曲」に交錯する、凛とした雰囲気とロマンティシズムも、余さず掬い取ってゆく。その阿吽の呼吸をして、「1人で弾いているよう」と称える声も。しかし、2人の音楽は「1+1」に留まらぬどころか、無限の可能性を秘めている。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年4月号より)

【information】
CD『アンシャンテ/フランボワーズ』

ローゼンブラット:2つのロシアの主題によるコンチェルティーノ、アヴェ・マリア/グアスタビーノ:ロマンス・デル・プラタ/ドホナーニ:ピアノ五重奏曲第1番

フランボワーズ
【遠藤夏季 中川彩(以上ピアノ)】

ティートックレコーズ
YZTT-0003 ¥3000+税