ますます旺盛な演奏活動を続けるヴァイオリニスト徳永二男による、2019年6月ヤマハホール公演のライヴ録音。3人の大作曲家の20代前半の名品を集めて、作品の瑞々しさと徳永の円熟が絶妙に融合した演奏を披露。R.シュトラウスは後のオーケストラ作品群を思わせるような密度で構築し、熱気と落ち着きを使い分けながら、雄渾に響かせる。モーツァルトのホ短調の名作も情感豊かだし、シューベルトでは穏やかな旋律美とそこに潜む陰影も聴かせる。いずれも濃密な歌心とキレのある音は健在で、名匠ならではの風格を味わえる。坂野伊都子の豊麗なピアノの貢献も見逃せない。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2020年1月号より)
【information】
SACD『徳永二男 プレイズ R.シュトラウス ヴァイオリン・ソナタ』
R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ op.18/モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第21番 K.304/シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲 D574
徳永二男(ヴァイオリン)
坂野伊都子(ピアノ)
収録:2019年6月、ヤマハホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00704 ¥3200+税