マグダレーナ・コジェナ(メゾソプラノ)&プリヴァーテ・ムジケ(古楽アンサンブル)

古楽と聴かせる“愛の手紙”

(c)Esther Hasse/DG
(c)Esther Hasse/DG
 METやコヴェントガーデンの舞台で大役を務め、2012年のザルツブルクでは、公私にわたるパートナーのサイモン・ラトルとの名コンビで《カルメン》役に挑み(イースター音楽祭はベルリン・フィル、夏の音楽祭はウィーン・フィルと)、オペラ・シーンにセンセーショナルを巻き起こしたマグダレーナ・コジェナ。チェコ出身のこのメゾソプラノは、バッハからドヴォルザーク、マーラーと、声楽曲の幅広いレパートリーにおいても、柔軟な解釈で美声を聴かせる歌手として知られており、CDリリースも多い。
 そんな彼女が5年振りに来日してリサイタルを開く。今回のプログラムは17世紀前半に作曲されたマドリガーレ(世俗歌)たちで、2010年にドイツ・グラモフォンからリリースした古楽アンサンブル、プリヴァーテ・ムジケとの共演盤『Lettere Amorose(愛の手紙)』を再現する企画。モンテヴェルディやカッチーニなどの作品を含むこれらは、ライナーノーツの彼女の言葉を借りるなら「当時のストリート・ミュージックともいえる素朴な唄で、クラシックのコアなファンでなくとも心掴まれるはず」とのこと。音楽監督のピエール・ピツルによるギターやヴィオラ・ダ・ガンバが率いる、同アンサンブルの雰囲気豊かな響きに乗せて、ちょっぴり物憂げな彼女の歌声が、400年前の恋心を現代に蘇らせてくれることだろう。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2013年10月号から)


★11月12日(火)・東京オペラシティコンサートホール
問ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp
他公演 11/15(金)・王子ホール(完売)、11/17(日)・名古屋/三井住友海上
しらかわホール(052-222-7117)