連休中に愉しむ、稀少なバソン・ワールド
「バソン」という楽器をご存じだろうか? いわゆる「フランス式ファゴット」で、標準型のファゴットよりも古雅で温かく表情豊かな、独特の音色をもっている。管楽器ファンはレ・ヴァン・フランセの奏者、ジルベール・オダンの使用楽器として認識があるだろうし、『のだめカンタービレ』でも紹介された。
だが「バソンのための」音楽を楽しむコンサートとなれば実に稀少。それが同楽器の第一人者・小山清によって開催される。小山は、パリ音楽院で学び、バソンのソリストとして欧米各地で活躍してきた世界的名手。「バソンの世界」と銘打った今回、前半の「バソンと弦楽オーケストラ」では通常のバソンで協奏曲、後半の「日本の雅」では、東日本大震災の折に津波で倒された樹齢260年の松で作ったボネ(先端部分)を用いたバソンを使い、室内楽曲が披露される予定。フランスの名フルート奏者ピエール・モンティをはじめ共演陣も多彩。大澤徹訓の協奏曲の世界初演や、吉松隆のフルート、バソンとピアノのための作品など、演目もきわめて興味深い。10連休の最中、耳新たな音楽体験はいかが?
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年5月号より)
2019.5/1(水・祝)14:00 紀尾井ホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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