「シュトラウスが“歌”ならば、フランクは“詩”…」と、瀬﨑明日香は言う。東京藝大からパリ国立高等音楽院に学び、日本音楽コンクール優勝など、国内外の登竜門で実績を重ねた気鋭のヴァイオリニスト。前作から約10年、満を持しての録音で「自分に最も近い作品」へ対峙した。同時期に書かれながらも、全く雰囲気を異にする2曲だが、濃密なロマンティシズムに彩られている点では共通。しかし、瀬﨑は決して感情のままに押し流されない。艶やかな美音に一筋、凛とした覇気を漲らせ、大胆かつ繊細に歌と詩を織り上げる。共演するピアノのシュトロッセも、そんな彼女の感性へそっと寄り添う。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年4月号より)
【Information】
CD『シュトラウス&フランク/瀬﨑明日香&エマニュエル・シュトロッセ』
R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ
フランク:同
瀬﨑明日香(ヴァイオリン)
エマニュエル・シュトロッセ(ピアノ)
VIRTUS CLASSICS/ナクソス・ジャパン
VTS-007 ¥2800+税