ジュゼップ・ポンス(指揮) NHK交響楽団

名匠と新鋭が届けるラテンの香り


 スペインからの熱い風が吹く。同国を代表する名指揮者ジュゼップ・ポンスとN響が、横須賀芸術劇場とかつしかシンフォニーヒルズを舞台に「オール・スペイン・プログラム」を披露する。プログラムには華やかで色彩感豊かな作品が並ぶ。ファリャの歌劇《はかない人生》から間奏曲とスペイン舞曲、ラロのスペイン交響曲、ファリャのバレエ組曲「三角帽子」第2部、そしてラヴェルの「ボレロ」。

 ファリャはスペインのカディス出身の作曲家。《はかない人生》のスペイン舞曲では、カスタネットが打ち鳴らされてフラメンコを踊る場面が描かれる。バレエ組曲「三角帽子」では躍動感あふれるダンスの音楽が聴きもの。「終幕の踊り」では喜びが爆発する。

 一方、ラロとラヴェルはスペインの血をひくフランスの作曲家。スペイン情緒たっぷりのラロの代表作「スペイン交響曲」では、ヴァイオリン独奏を南紫音が務める。ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール第2位をはじめとする華やかなコンクール歴を誇る気鋭である。バスク系の母親を持つラヴェルは「ボレロ」でスペイン舞曲を一大スペクタクルへと発展させた。名手ぞろいのN響ならではの鮮やかなソロを期待できるだろう。

 ポンスは現在バルセロナのリセウ大劇場の音楽監督やスペイン国立管弦楽団の名誉指揮者を務めている。スペイン音楽を知り尽くした名匠だ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2019年4月号より)

N響ベストクラシックス〜哀愁と情熱のスペイン〜
2019.6/1(土)16:00 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
問:かつしかシンフォニーヒルズ03-5670-2233
https://www.k-mil.gr.jp/

NHK交響楽団 横須賀公演
2019.6/2(日)14:00 よこすか芸術劇場
問:横須賀芸術劇場046-823-9999 
https://www.yokosuka-arts.or.jp/