デュオ ハヤシ リサイタル

結成45周年! 熟成のソナタを聴こう


 長い期間にわたり、これほど高い質を保つのに、どれほどの真摯な努力が重ねられてきたことか。夫婦ならではの息の合ったプレイで、室内楽の魅力を伝え続ける、チェロの林俊昭とピアノの林由香子による「デュオ ハヤシ」。日本で初の本格的デュオとして活動を開始してから、今年で45周年の節目を迎えた。

 記念リサイタルは、「時間をかけて培ってきた」と2人の自信みなぎる、ベートーヴェン後期の傑作「チェロとピアノのためのソナタ第4、5番」をメインに。18歳の若きリヒャルト・シュトラウスによる、鮮烈な魅力に満ちた野心作「ソナタ ヘ長調」と、メンデルスゾーンの「無言歌」が併せて披露される。

 共に桐朋学園大に学び、1973年にデュオ活動を開始。渡欧して、ウィリアム・プリースら大家の指導を仰ぎ、イタリアを中心に60余回のステージを重ね、数々の登竜門でも実績を残した。帰国後は演奏活動の一方、マスタークラスやイタリアでのコンクール開催など、後進の指導にも尽力。2人が奏でる第1主題は、「室内楽の未来」なのかもしれない。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年3月号より)

2019.3/10(日)14:00 王子ホール
問:アスペン03-5467-0081
http://www.aspen.jp/