第10回浜松国際ピアノコンクール 入賞者披露演奏会 東京公演

熱気漲る若きヴィルトゥオーゾたちの競演ふたたび!

左より:ジャン・チャクムル/イ・ヒョク/今田 篤/務川慧悟/安並貴史
写真提供:浜松国際ピアノコンクール

 昨年11月に開催された浜松国際ピアノコンクールは、回を重ねた成果に加え、直木賞を受賞した恩田陸の小説『蜜蜂と遠雷』の影響もあり、チケットは1次予選から連日完売。過去最高の盛り上がりを見せた。その入賞者披露演奏会が、東京・紀尾井ホールで行われる。
 今回は、日本勢が4名入賞したことも話題となった。うち、第2位の牛田智大はスケジュールの都合で不参加となるが、4位から6位の、今田篤、務川慧悟、安並貴史が出演。いずれも誠実な音楽性の持ち主で、コンクールを機に人気急上昇中だ。各人思いのこもったレパートリーが並んでいるので、大いに期待できそう。

 韓国で生まれ、現在モスクワで学ぶイ・ヒョク(第3位)は、チェスを嗜み、ヴァイオリン演奏でもコンクールに優勝する腕を持つという多才な若者。自由な感性を持つ彼は、「『ペトルーシュカ』からの3楽章」でその卓越したセンスとリズム感を披露する。
 そして、優勝したトルコのジャン・チャクムルは、枠にとらわれない音楽性、共演者や聴衆とつながるコミュニケーション能力が評価された。バッハの「イギリス組曲第6番」と、メンデルスゾーンの「スコットランド・ソナタ」というプログラムで、知性と創造性で導き出した解釈を、確かな説得力とともに伝えてくれるだろう。

 コンクール最終日に行われた浜松での入賞者披露演奏会は、通例より多くの席を用意するも早々に完売したそうだ。そんな大注目のピアニストたちの競演、ぜひ聴いておきたい。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2019年3月号より)

2019.5/21(火)18:45 紀尾井ホール
問:浜松国際ピアノコンクール事務局053-451-1148 
http://www.hipic.jp/