ピアニストの小曽根真をホストに、世界の一流ジャズマンをゲストに迎え、ジャズとクラシックの刺激的な邂逅を演出する「Jazz meets Classic」。今年はそのゲストにはじめてビッグバンドが登場する。
そのビッグバンドとは、スコティッシュ・ナショナル・ジャズ・オーケストラ。名前のとおりスコットランド出身のプレイヤーを中心に組織されたオーケストラで、創設者でリーダーのトミー・スミスは、1980年代、小曽根がゲイリー・バートンのグループに在籍していた時の同僚。ここ数年は、モーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノム」(小曽根編曲のジャズ版)での共演など意欲的なコラボレーションを通してふたたび親交を深めている。
プログラムも興味深い。これまでこのシリーズで選ばれるのは、ショスタコーヴィチやプロコフィエフ、バルトークなどの難曲大曲が常だったが、一転、今回は子ども向け、教育目的に演奏される機会が多いサン=サーンス「動物の謝肉祭」とプロコフィエフ「ピーターと狼」が取り上げられるのだ。とはいえ、前者は小曽根の、後者はスミスの編曲によるものだから、それがスリリングなジャズ・テイストを多分にはらんだものになることはまちがいなし。さらに後者では、名優、橋爪功がナレーションをつとめるというから、これは演劇ファンも見逃せまい。進化を止めることなく新たな感動を創造し続ける「Jazz meets Classic」。期待は膨らむばかりだ。
文:藤本史昭
(ぶらあぼ2019年3月号より)
Music Program TOKYO Jazz meets Classic
小曽根 真 & スコティッシュ・ナショナル・ジャズ・オーケストラ
2019.5/18(土)17:00 東京文化会館
5/19(日)15:00 オリンパスホール八王子
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
http://www.t-bunka.jp/