【CD】プロムナード/住谷美帆

 2018年7月開催の第9回国際サクソフォンコンクールにて優勝を果たした住谷美帆のデビュー盤である本作は、彼女の多彩な表現力がフルに発揮された瞠目の出来栄え。最初のグラズノフは美しく途切れぬ歌と円滑なフレージングにそれが息の物理的限界があるサクソフォンという楽器であることを一瞬忘れさせるほどだし、ショパンでは何の苦もないかの如くブラヴーラな技巧を披露。「展覧会の絵」では4種の楽器を持ち替えながら雄弁に各楽想を描き分け、最後のボノーではこの難曲から最上の音楽性を以てノーブルな味わいを引き出している。正に逸材。共演のラシュコフスキーも見事だ。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2019年1月号より)

【information】
CD『プロムナード/住谷美帆』

グラズノフ:サクソフォン協奏曲/ショパン(旭井翔一編):12の練習曲第4番op.10-4/ムソルグスキー(長生淳編):展覧会の絵/シューベルト(長生淳編):4つの即興曲D899 第3番/ボノー:ワルツ形式によるカプリス

住谷美帆(サクソフォン)
イリヤ・ラシュコフスキー(ピアノ)

キングレコード
KICC-1473 ¥3000+税