クァルテット・エクセルシオの要としてアンサンブルをまとめるチェロの大友肇のソロ・アルバム第二弾。バッハの無伴奏組曲第3番は、前奏曲からぶれることのない安定したテンポで聴き手を力強く引っ張っていく。旋律の内在的な方向感をとらえたナチュラルなアプローチは、クーラントのようなゆるやかな楽章でも生きる。たっぷりとした呼吸で表現した前奏曲など、ちょっと気難しい第4番も素材の美質を巧みに引き出した。カサド作品は耳になじむメロディー、民族的な素朴さとモダンなセンスがバランスよく配された佳作だが、ストレートな音楽性の中に時として現れる荒々しいタッチも魅力。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2018年11月号より)
【information】
CD『バッハ&カサド/大友肇』
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番・第4番/カサド:パルティータ、親愛なる言葉、セレナーデ
大友肇(チェロ)
野本哲雄(ピアノ)
ナミ・レコード
WWCC-7878 ¥2500+税