古典から20世紀作品まで傑作ぎっしりのラインナップ
2017年、紀尾井シンフォニエッタ東京から名称を変更した紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)は、ウィーン・フィルのコンサートマスターでもあるライナー・ホーネックを首席指揮者に迎えた。ホーネックは、年間5プログラムの定期演奏会のうち、3つに登場。毎回、指揮だけでなくヴァイオリン・ソロも披露している。
3シーズン目の19年度もそのスタイルが継続される。シリーズ化されている〈ホーネックのモーツァルト選集〉では、「セレナータ・ノットゥルナ」でヴァイオリンを弾き、「グラン・パルティータ」を振る(2019.4/5,4/6)。もう一つのシリーズ〈ミュトスとロゴス〉では、西村まさ彦を語りに迎え、ベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」を全曲演奏(9/27,9/28)。そして20年2月には、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を弾き振りし、交響曲第7番で年度を締め括る(20.2/14,2/15)。
注目は、バッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督である鈴木雅明の客演。バルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」とストラヴィンスキーのバレエ音楽「プルチネルラ」という20世紀音楽を取り上げるのが興味深い(19.6/21,6/22)。「プルチネルラ」は歌手を交えての全曲演奏。
鍵盤奏者としても知られるイギリスの指揮者、リチャード・エガーは、16年の「東京・春・音楽祭」での共演で好評を博し、KCOの定期にデビューする。近年演奏頻度の上がっているシューマンのヴァイオリン協奏曲を、国際的に活躍する佐藤俊介が弾く。ブラームスの交響曲第2番は意外にもKCO初レパートリー。初演当時に近い小振りな編成での演奏が楽しみ(11/8,11/9)。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年11月号より)
※紀尾井ホール室内管弦楽団 定期演奏会の各公演のチケット発売日など、詳細については下記ウェブサイトでご確認ください。
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp/