2009年までN響の首席奏者を務めたファゴットの名手のデビュー・アルバム(録音はN響在籍中の1996年)のリマスタリング発売。同楽器の重要作品を揃えた選曲と高度な演奏が相まってロングセラーを続けているディスクが、鮮やかな音質で蘇った。今聴いて感嘆させられるのは、柔らかな音色となめらかで自然なフレージング。シューマンの「3つのロマンス」や「白鳥」はその好例であり、身を任せているだけで酔わされる。オリジナル曲も全て聴き応え十分。中でもブトリーの難曲の快奏には舌を巻く。一般ファンも楽器と奏者の魅力を存分に楽しめる1枚。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年10月号より)
【information】
CD『ファゴット・コン・フォーコ/岡崎耕治』
ジャンジャン:プレリュードとスケルツォ/サン=サーンス:ファゴット・ソナタ/ブトリー:アンテルフェランスⅠ/ヒンデミット:ファゴットとピアノのためのソナタ/シューマン:3つのロマンス/タンスマン:ソナチネ/サン=サーンス:白鳥 他
岡崎耕治(ファゴット)
岡崎悦子(ピアノ)
マイスター・ミュージック
MM-4040 ¥3000+税