世界を股にかけ活躍する“驚異のダンサー”森山開次出演の『スペースオペラKEGON』が福島県白河市の白河文化交流館コミネスで上演される。2016年10月のオープンから2年目を迎えたコミネスが、東日本大震災からの創造的復興を願い、戊辰戦争から150年になるのを記念して取り上げるもので、「希望の光と命の躍動」をテーマに掲げている。「オペラ」と銘打たれているが、歌もセリフもなく、音楽に合わせてダンスと光のアートが融合する壮大なスケールの創作舞台。昨年、宮城県多賀城市でも上演されている。
作曲は東京藝術大学副学長の松下功で、自らアンサンブル東風を指揮する。これまで祈りをテーマに作曲してきた松下だが、『KEGON』では、華厳経の「光明遍照(こうみょうへんじょう)(無限の光が世界の隅々まで照らし出す様子)」の世界観に基づき、ひとりの男の子の試練と成長の物語を通して、人間の命の大切さや尊さを訴えている。全体は5つのシーンからなり、第1・第2シーンの女神(鈴木麻矢)たちの踊りに続き、第3の「生命の躍動と反骨」における森山演じる若者の踊りが見ものだ。演出・台本・構成を志賀野桂一館長が担当するほか、光のアート(ヤマザキミノリ)、巨大背景画(加川広重)、布アート(大竹貴雄)、女神と子役の振付・ダンス指導(鈴木寿雄)などスタッフの体制も万全で舞台作りにも力が入る。公募で選抜された地元の小学生32名が子役として出演するのも話題だ。市民参加型の舞台の成果が注目される。
文:渡辺真弓
(ぶらあぼ2018年3月号より)
2018.3/18(日)14:30 福島/白河文化交流館コミネス
問 白河文化交流館コミネス0248-23-5300
http://www.cominess.jp/