奏者が互いに呼吸を感じとる唯一無二の合奏力
長岡京という日本古来の伝統の息づく地域に根差しながら、若い音楽家を結集し一流の室内楽団を作る——ヨーロッパで活躍していたヴァイオリニスト・森悠子の夢が長岡京室内アンサンブルとして結晶化したのが1997年のこと。長年の活動を通じ、現在、同団は押しも押されもせぬ室内合奏団の一つに成長した。
さて、2月3日には本拠地(京都府長岡京記念文化会館)で結成20周年公演を終えた後、東京文化会館に登場。音楽監督・森のもと高木和弘ら弦5部、13名が密度の濃いアンサンブルを聴かせてくれる。弦楽四重奏よりは厚手だが、奏者が互いに呼吸をダイレクトに感じとりながら進めていける、絶妙の合奏規模だ。曲目は古典的な4楽章制で書かれたブリテン「シンプル・シンフォニー」で始まり、生き生きとした流れの中に一抹の哀愁を湛えたドヴォルザーク「弦楽セレナード」、そしてモーツァルト「ディヴェルティメント」からいわゆる“ザルツブルク・シンフォニー”と呼ばれる「K.136〜138」までの3曲。いずれも過去に録音のある、自家薬籠中のレパートリーだ。近々リリースされる同団のCD第9弾は会場で先行発売される予定。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2018年2月号より)
2018.2/5(月)19:00 東京文化会館(小)
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