毎年ゴールデンウィークに行われている音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が名称を「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018」(以下LFJ)と変更し、2018年に開催することを発表した。開催期間は、5月3日〜5日の3日間。従来からの東京国際フォラームを中心とする丸の内エリアに加え、新たに池袋エリアでも同時開催される。17年は約350公演(うち有料公演122公演)だったが、18年はそれを上回る規模となる見込み。会場として予定されているのは、東京芸術劇場(コンサートホール、シアターイースト、シアターウエスト、シンフォニー・スペース)のほか、池袋西口公園、南池袋公園など。主催者であるLFJ運営委員会には豊島区も参画している。
(2017.11/30 東京芸術劇場 Photo:I.Sugimura/Tokyo MDE)
14回目の開催となる2018年のテーマは「UN MONDE NOUVEAU ― モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ」。政治的圧力から亡命を余儀なくされた作曲家、あるいは自ら新天地を目指した作曲家たちにスポットを当てるという。11月30日に都内で行われたメディア向け懇談会に出席したアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンは、今回のコンセプトについて次のように述べた。
「“exile(亡命)”が今回のキーワードです。19〜20世紀には政治的事情によって亡命・移住を余儀なくされた作曲家がたくさんいます。ショパン、ラフマニノフ、プロコフィエフ、グレチャニノフ、バルトーク、シェーンベルク、コルンゴルト、ヴァイル…。そのほか、時代に翻弄された存在として忘れてならないのが、クレーサ、ウルマンなどテレジーン強制収容所に送られた作曲家たちです。彼らは収容所のなかでも作品を生み出しました。また、ペルト、リゲティなど現代の作曲家、またアルベニス、ファリャなど多くスペインの作曲家も亡命・移住をしました。
一方、ドヴォルザークのように自らの意志でアメリカに移住した作曲家もいました。古い時代に目を向ければ、リュリ、ヘンデル、D.スカルラッティ、チマローザ、ガルッピなど新天地で活躍した人が多くいます。さらに、今回はもうひとつ『精神的な亡命』というテーマがあります。とりわけ古典派、ロマン派の作曲家たちは、自らの心の奥底に新たな世界を見出しました。聴覚を失い孤独の中にあったベートーヴェン。シューベルトの「冬の旅」に見られるような“死と向き合うさすらい人”のテーマ。そして、シューマンは狂気の中に自らを閉じ込め、やがて自殺を図りました。そうした精神世界における“exile”に目を向けたいと思います」
そのほか、このテーマに通じるものとして、バルカン半島に起源をもつクレズマー音楽も紹介したいと語った。
東京国際フォーラムの最寄駅・有楽町と池袋は、東京メトロ有楽町線で19分。2つのエリアをハシゴすることも可能で、リピーターにとっても新たな楽しみが広がりそうだ。演奏曲、出演アーティストなどプログラムの詳細は、2018年2月に発表予定。
ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018
http://www.lfj.jp/