ヴァンサン・ラルデル(ピアノ)

カラフルな音色で紡ぐフランスものとブラームス

©Martin Teschner
©Martin Teschner
 欧米の音楽誌から、その「叙情性と驚くべき繊細さ」「多彩な音色」「オーケストラのような響き」を称賛されるフランスのピアニスト、ヴァンサン・ラルデル。若き日には国内外の数々のコンクールで首位に輝き、音楽院や財団からは賞を授与されるなど、着々とキャリアを積み重ねてきた人だ。レパートリーはスカルラッティからブーレーズまでと幅広い。これまでに発表したアルバムでは、ラヴェルやフローラン・シュミットのポエジーに満ちた作品を取り上げ、透明で緊張を孕んだ音色で聴かせる。その真摯に音楽へと向き合う姿勢は、音楽家たちからの信頼も厚く、現在では多くのオーケストラと協奏曲を共演している。
 そんなラルデルが、トッパンホールでリサイタルを行う。ラヴェルの組曲「鏡」より、ドビュッシーの映像第1集、そしてブラームスのソナタ第3番などを披露する。シリアスで繊細かつ大胆な彼の音楽作りを、存分に発揮してくれそうなプログラムに期待が高まる。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ 2016年9月号から)

10/17(月)19:00 トッパンホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.co.jp

他公演 10/15(土)宗次ホール(052-265-1718)