天上から響く清純なレクイエム
世界を代表する歌劇場といえば、必ず名前があがるのがパリ国立オペラ座。17世紀にさかのぼる歴史を持ち、スタンダードなレパートリーに加えてフランス語オペラの伝統を守り続けてきた名門だ。
そのオペラ座で活躍する少年少女合唱団が、パリ国立オペラ座少年少女合唱団。オペラ座のオーケストラや合唱のレベルの高さは有名だが、少年少女合唱団も例外ではない。500名の精鋭を擁し、《カルメン》のようなオペラの舞台はもとより、コンサートを含めると内外で年間およそ180回の公演を行っている。技術の高さ、澄んだ美しい歌声に加え、個性を大切にするフランスらしい、自由でのびやかな歌いぶりが魅力だ。とりわけ1999年にガエル・ダーシェンを音楽監督に迎えて以来、演奏水準は飛躍的に向上し、レパートリーも広がった。
この10月、パリ国立オペラ座少年少女合唱団が待望の初来日を果たす。来日のために選ばれた70名が歌うプログラムのメインは、母国フランスの大作曲家ガブリエル・フォーレの「レクイエム」。モーツァルト、ヴェルディと並んで「3大レクイエム」の1曲とされる名曲中の名曲だが、3曲のなかでも日本人好みの端正な美しさに溢れている。実は本合唱団の前身は、セーヌ聖歌隊という教会音楽の合唱団。実力が認められてオペラ座の専属となったが、教会作品は十八番である。
天上の歌声による、フランス宗教音楽の名作プログラム。空気が澄んでくる秋に耳を傾けるのに、ぴったりのコンサートではないだろうか。
文:加藤浩子
(ぶらあぼ 2016年9月号から)
10/26(水)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:テイト・チケットセンター03-3402-9911
10/28(金)19:00 神奈川県民ホール
問:tvkチケットカウンター045-663-9999
10/30(日)14:00 文化パルク城陽
問:文化パルク城陽0774-55-1010
11/1(火)18:30 フェスティバルホール
問:フェスティバルホールチケットセンター06-6231-2221
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