バロックからロマン派への旅
シルヴァン・カンブルランが読売日本交響楽団の常任指揮者に就任したのは2010年4月。2016/17シーズンは早くも7年目であり、この6月にはストラヴィンスキーやブルックナーを軸としたプログラムを聴かせたばかり。さらに10月は6回のコンサートで4つのプログラムを指揮するという活躍ぶりだ。言うまでもなくオーケストラの対応力や表現の幅も広がり、オールマイティカードを何枚もキープして使えるような状態だろう。
その10月に行われるコンサートの中、8日〜10日の3日間(東京芸術劇場、横浜みなとみらいホール)は「バロックからロマン派への旅」といえる3曲が並ぶ。オペラ《カストールとポリュックス》のコンサート用組曲は、ジャン=フィリップ・ラモーによる典雅なフランス・バロック音楽(舞踊組曲)。また、何度も来日してベートーヴェンやシューベルトなど、ドイツ系の音楽を端正な演奏で聴かせているマルティン・シュタットフェルトが、コンサートで演奏される機会が少ないモーツァルトのピアノ協奏曲第15番を弾くのも注目だ。そしてメインはシューベルトの「グレイト」交響曲。ドイツ・ロマン派交響曲を美麗な響きで塗り替えてきたカンブルランと読響だけに、シューベルトのピュアな旋律をシルクのような輝きで再現するのでは…と予想するのも楽しいが、このコンビなら余裕をもって新しいシューベルトの響きを提示してくれるだろう。楽しみは当日にとっておきたい。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ 2016年9月号から)
第192回 土曜マチネーシリーズ 10/8(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第192回 日曜マチネーシリーズ 10/9(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第91回 みなとみらいホリデー名曲シリーズ
10/10(月・祝)14:00 横浜みなとみらいホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp