郡 愛子 40周年記念リサイタルⅡ 柔和な響き〜メゾソプラノの魅力

41年目の新たな第一歩

 メゾソプラノ郡愛子のキャリアのスタートは1975年日本オペラ協会公演の三木稔のオペラ《春琴抄》(初演)。昨年11月には東京芸術劇場コンサートホールで、その《春琴抄》を含む邦人オペラのアリアや歌曲、童謡、流行歌など日本のうたづくしの記念リサイタルでファンとともにデビュー40周年を祝った。
 しかしそれだけで終わらないのが日本のオペラ界屈指のエンターテイナーである彼女らしいところ。歌いたいうた、見せたい自分がたくさんあるのだ。「あれもこれもと考えていたら1回で収まらなくなってしまった」という結果、記念リサイタルは半年おきの全3回に発展した。
 その第2弾『柔和な響き〜メゾソプラノの魅力』は、前回とは対照的に西洋の楽曲が並ぶプログラム。「祈り」「願い」「心のふるさと」をテーマに、オペラ・アリア、バッハの宗教曲、歌曲と、どれも40年の間に心血を注いで取り組んできたレパートリーを歌う。共演はピアノの藤原藍子。祖父は藤原歌劇団創立者である「われらのテナー」藤原義江だ。彼は郡のデビュー数ヵ月後に亡くなっているが、ずっと藤原歌劇団をホームにオペラ活動を重ねてきた郡にとってはやはり大きな存在。往年の録音から学ぶことも今なおたくさんあるという。その遺伝子を受け継ぐピアニストとの共演は、40年間を振り返る総集編であるのはもちろん、41年目の新たな第一歩だ。なお、40周年リサイタル第3弾は今年11月に予定されている。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年6月号から)

6/18(土)14:00 Hakuju Hall
問:グローバルアーツ03-5981-9175
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