ヨーロッパ・ツアーにシベリウス・ツィクルス、さらに未来を見据えた「次世代育成プロジェクト」も!
10月26日、大阪フィルハーモニー交響楽団が2027-28シーズンラインナップを発表。同日、大阪フィルハーモニー会館(大阪市内)で記者会見が行われ、音楽監督の尾高忠明、事務局長の福山修らが登壇した。

写真提供:大阪フィルハーモニー交響楽団
没後、創立名誉指揮者となった朝比奈隆(1908~2001)を中心に、1947年に結成された同楽団にとって、2027年度は創立80周年という大きな節目となる。様々な記念企画が予定されているが、その中心となるのが尾高だ。フェスティバルホールで開催される定期演奏会(全10プログラム)では、全3プログラムを指揮。うち27年5月&6月の公演では、その間に行われるヨーロッパ・ツアーのソリストを軸にしたプログラムを披露。大阪フィルにとっては実に35年ぶりの欧州ツアーということで、尾高のタクトのもと充実のラインナップを2ヵ国4都市(ウィーン、リンツ、マンチェスター、ロンドン)で展開するが、大阪での5月定期はマンチェスター公演と同一のプログラムを演奏、また6月定期にはロンドン公演で共演するジャズピアニストの小曽根真が登場する。
尾高「5月は、親父(尾高尚忠)の交響的幻想曲『草原』に、ヴィクトリア・ムローヴァさんとのプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番、そしてドヴォルザークの交響曲第8番。特にドヴォルザークの8番は、N響デビュー、そして東京フィルとの最初のレコーディングで取り上げ、さらにはその後の(東京フィルとの)ヨーロッパ演奏旅行で本場・チェコでも演奏して熱狂的な好評をいただいた、思い出深い曲です。6月は、ショスタコーヴィチの交響曲第5番などに加え、小曽根真くんとベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番で共演します。彼がカーネギーホールでデビューした時のドキュメンタリーをテレビで観て、その度胸と演奏の素晴らしさに惚れ込んで以来、様々な曲で共演を重ねてきました。ベートーヴェンの2番でも、どれぐらい即興を入れてくるか今から楽しみです」

その後の2028年2月定期では、大阪フィルが朝比奈時代から十八番とするブルックナーの交響曲第8番を披露。同月に行われるサントリーホールでの東京定期でもこの曲を演奏する。
尾高「この作品は音楽監督就任の時、そして数年前にも取り上げましたが、朝比奈先生の面影を感じる大阪フィルのブルックナー8番はやっぱり特別だな、と。また、東京にいる大阪フィルファンの方からは、9番を演奏する予定だった公演(2021年)がコロナで流れてしまって以来、度々『早くブルックナーの8・9番を東京でやってください!』と言われていて。その一つが今回実現して、頑張らなきゃいけないなと思っています」
前述のヨーロッパ・ツアーの演目は定期演奏会の他にも、ザ・シンフォニーホールでの“ツアー記念演奏会”という形で、リンツ公演のプログラム(ワーグナー《タンホイザー》序曲&ブルックナー「ロマンティック」)がお披露目される。このほかに尾高は、恒例となっているツィクルスでシベリウスをフィーチャー(全4回)、さらに朝日新聞文化財団が主催する大阪国際フェスティバルでは、ブリテンのオペラ《ピーター・グライムズ》を演奏会形式で上演するなど、まさしく大車輪の活躍が予定されている。

客演勢は、ハインツ・ホリガー(9月定期)、シャルル・デュトワ(10月・京都特別演奏会)、レナード・スラットキン(11月定期)ら共演を重ねる名匠から、カーチュン・ウォン(4月定期)やダンカン・ウォード(7月定期)、ゲルゲイ・マダラシュ(28年3月定期)ら各地で活躍を広げる注目株まで、アニバーサリーにふさわしい顔ぶれがそろう。また、アーティスト・イン・レジデンスのダニエル・オッテンザマー(ウィーン・フィル首席クラリネット奏者)は、ウィーン公演でのソリスト出演に加え、住友生命いずみホールでの特別演奏会でクラリネットの腕前を存分に披露。大植英次や松本宗利音ら楽団の指揮者陣は、「名曲シリーズ」の各公演でタクトをとる。
さらに、80周年のその先を見据えた「次世代育成プロジェクト」が本格的に始動することも発表された。学術振興や社会文化活動の促進を行う上廣倫理財団の支援を受け、長期的な取り組みとして立ち上げられたもので、これまでに行ってきたアウトリーチに加え、楽器体験やレッスン、参加型のワークショップなどの多彩な音楽活動の実践を通じて、将来の聴衆や演奏家、文化芸術を支える人材を育むことを目指すという。まずは同楽団の本拠地である大阪市西成区を中心に、地域の団体や施設と双方向のコミュニケーションを図りながらプロジェクトを推進する方針だ。事務局長の福山は、「大阪フィルが80年にわたって培ってきた経験を次世代に手渡していきながら、誰もが芸術文化に親しめる社会と、地域に根ざした新しい音楽文化の循環を育てていきたい」とプロジェクトにかける熱い意気込みを語った。
充実のラインナップ、そして楽団のさらなる未来を切り開く取り組みがそろう大阪フィルの80周年に注目したい。
文:編集部
大阪フィルハーモニー交響楽団
https://www.osaka-phil.com
