流山発の本格派室内楽祭「NAGAREYAMA 国際室内楽音楽祭 2026」開催概要が発表

パスカル・ドゥヴァイヨン&村田理夏子、堀米ゆず子、趙静ら多彩な名手が集結

 千葉県流山市のスターツおおたかの森ホールで11月に開催される「NAGAREYAMA 国際室内楽音楽祭 2026」の記者会見が7月2日に行われ、2026年の開催概要が発表された。2022年にスタートした同音楽祭は、流山市を拠点に活動するピアニスト、パスカル・ドゥヴァイヨン&村田理夏子夫妻が音楽監督を務める。地域に開かれた祝祭性と、国際的な演奏家による本格的な室内楽を両立させる音楽祭として、回を重ねてきた。

左:パスカル・ドゥヴァイヨン 右:村田理夏子 写真提供:スターツおおたかの森ホール

 4回目の開催となる今回は、11月21日から23日までの3日間にわたり、全4公演が予定されている。音楽祭の常連となっているフィリップ・グラファン(ヴァイオリン)、キム・サンジン(ヴィオラ)らに加え、今年は国際的に活躍する堀米ゆず子(ヴァイオリン)と青江宏明(コントラバス)が初参加する。

◎出演者
音楽監督:パスカル・ドゥヴァイヨン、村田理夏子(以上ピアノ)
堀米ゆず子、フィリップ・グラファン(以上ヴァイオリン)、キム・サンジン(ヴィオラ)、趙静(チェロ)、青江宏明(コントラバス)、チャールズ・ナイディック(クラリネット)、加羽沢美濃(ナビゲーター)
※その他、ファミリー・コンサートに伊藤里桜(フルート)、山崎香奈(打楽器)、堀内龍星(チェレスタ)が出演

 パリ高等音楽院、ベルリン芸術大学、ジュネーヴ音楽院などで教授を歴任した名ピアニスト、最近、日本語の勉強を始めたというドゥヴァイヨンは、会見冒頭で「この会見に来てくださって、ありがとうございます。私たちのピアノ・デュオは今年20歳(はたち)になりました」と日本語で挨拶。「たぶん30年後にはもっと上手に話せます。50年後には完璧になっています。その時また会いましょう」と話し、会場を笑わせた。その後は、フランス語に切り替えたが、4度目の開催を迎え、「今後も(音楽祭を)継続していけそうな予感がしてきました。この立派な素晴らしいホールを活用することで、流山の魅力が増えていく。その一端を担うことができるのではないか」と手応えを感じている様子。スタッフやホール関係者のサポートの大きさについても強調していた。

 村田は「コンサートはそもそも何のためにあるのか」ということについて二人で話し合ったという。
「単に音楽を聴きに来るという楽しみはもちろん、会場に来て人と人が交流する場を求めているという部分が大きいのではないかと考えたんですね。音楽祭を行う時に、3日間の『音楽のお祭り』にしたいと彼(ドゥヴァイヨン)が言っていて、音楽に馴染みがある方でもない方でも、各自が来てみたら自分なりの楽しみや喜びを見つけられる場を作りたい。そういう理想像がありました」

昨年の音楽祭より ©平舘平

 そうした考えは、すでに具体的に形となっている。昨年の音楽祭では、ホワイエで地元のお店が出店、音楽祭オリジナル・ドリンクも開発されて好評を博し、さらには日本酒の飲み比べなども行われ、会場を盛り上げる一助となった。

 一方で、村田は「絶対妥協しないポイントを定めている」とも語った。
「お祭りとして来た後、このホールの扉を開けて中に一歩入ったら、そこには本物の音楽がある、質の高い音楽がある。そこだけは絶対に守りたいという一線があります」

 実際、全4公演には、親しみやすい作品と演奏機会の少ない作品がバランスよく盛り込まれている。サン=サーンスの「動物の謝肉祭」やシューベルトの「ます」といった広く親しまれる名曲が取り上げられる一方で、R.シュトラウスのピアノ四重奏曲、ハチャトゥリアンの「ヴァイオリン、クラリネットとピアノのための三重奏曲」など、室内楽ファンの関心を引く作品も並ぶ。ドゥヴァイヨンと村田の2台ピアノの演奏曲も、ルトスワフスキ「パガニーニの主題による変奏曲」、リスト「悲愴協奏曲」と通好みだ。

 地元・流山市民にはチケットの「市民割」も用意されているが、訪れる市民に(音楽祭を)「自分たちのものだ」と感じてほしいと語るドゥヴァイヨン。
「私の両親は趣味で楽器を演奏していましたが、友人と一緒に奏でたりしている光景を、子どもの頃当たり前に目にしていました。そうした音楽の原点に立ち返り、流山の人々にも『クラシックだから難しい』と心配せず、自分たちの居場所として親しみを持ってほしい」と力を込めた。

写真提供:スターツおおたかの森ホール

 会見では、ドゥヴァイヨンと村田によるドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」の演奏も披露された。つくばエクスプレス快速で秋葉原から約25分というアクセスの良さに加え、優れた響きを備えたスターツおおたかの森ホールを舞台に、地域性と国際性をあわせ持つ音楽祭として、今後さらに存在感を高めていきそうだ。

NAGAREYAMA 国際室内楽音楽祭 2026
会場:スターツおおたかの森ホール
◎オープニング・コンサート「Éclairage エクレラージュ ~室(むろ)に満ちる光と影~」
11/21(土)14:00
モーツァルト:セレナード 第13番 ト長調「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」K.525
プロコフィエフ:ヘブライの主題による組曲 op. 34
ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲
R. シュトラウス:ピアノ四重奏曲 ハ短調 op. 13
◎コンサート・アントゥルアミ〔仲間と共に〕「Le Salon ル・サロン ~内なる対話~」
11/22(日)14:00
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第1番 変ホ長調 op.1-1
ラフマニノフ:ピアノ三重奏曲 第1番 ト短調「悲しみの三重奏曲」
ハチャトゥリアン:ヴァイオリン、クラリネットとピアノのための三重奏曲
モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581
◎ファミリー・コンサート「“レッツゴー! ながれやま音楽動物園”」
11/23(月・祝)10:30
サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」 ~動物園の幻想~ ほか
◎ファイナル・コンサート「Bouquet Final ブッケ・フィナル ~音楽の花束~」
11/23(月・祝)15:00
バルトーク:コントラスツ Sz.111
J. シュトラウスII/J. シュトラウス:ピッツィカート・ポルカ
リスト:悲愴協奏曲 ホ短調 S.258 R.356
シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 op.114/D667 「ます」

チケット発売:7/25(土)10:00〜
スターツおおたかの森ホール
https://starts-otakanomorihall.com