
東京文化会館が届ける「リラックス・パフォーマンス」は、クラシック音楽のコンサートにまつわる“暗黙のルール”に囚われずに、世代や障がいの有無にかかわらず、誰もが安心して、生のオーケストラを体感できる公演だ。「リラックス」という言葉には、「寛容な」という意味が含まれている。このコンサートでは、上演中に少し音を立てても大丈夫。客席の照明は完全に暗くならず、いつでも出入りできるフリーエリアも完備。手話通訳や字幕タブレット、体感音響システムなど、視覚や聴覚の鑑賞サポートも充実している。今回は立川市のたましんRISURUホールに会場を移し、園田隆一郎の指揮する東京フィルハーモニー交響楽団が、ナビゲーター(塚本江里子)および「ろうナビゲーター」(西脇将伍)付きで約1時間のプログラムを届ける。
今年は動物や多彩な情景をテーマにした音楽を中心に名曲が揃う。チャイコフスキー「白鳥の湖」の優美なメロディや、ロッシーニ《ウィリアム・テル》の勇壮な行進曲、リムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」やサン=サーンスの「動物の謝肉祭」の〈象〉など、さまざまな楽器の音色が鮮やかに響きわたる。圧巻はストラヴィンスキー「火の鳥」。迫力満点の〈魔王カスチェイの凶悪な踊り〉から感動的な終曲まで、オーケストラの多彩でダイナミックな響きを全身で味わえる曲目だ。本格的な演奏を通じて、初めての人にも久しぶりの人にも、コンサートの喜びがまっすぐに届くひと時となることだろう。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2026年4月号より)
東京文化会館 リラックス・パフォーマンス~世代、障害をこえて楽しめるコンサート~
2026.6/14(日)15:00 たましんRISURUホール(立川市市民会館)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。


