仙台フィル東京公演にパスカル・ヴェロ×小曽根真が登場
成長著しいオーケストラの現在とは?

パスカル・ヴェロ&仙台フィルハーモニー管弦楽団(2024年の東京公演より)
写真提供:アイリスオーヤマ株式会社

仙台フィルハーモニー管弦楽団は6月9日、サントリーホールで東京公演「アイリスオーヤマ・クラシックスペシャル2026」を開く。2019年の開始から7回目。今回はパスカル・ヴェロの指揮によるラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」とリムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」。ピアノ独奏はジャズとクラシックの双方で世界的に活躍する小曽根真。本拠地・仙台市での大ホール新設も控え、成長著しい仙台フィルについて同楽団副理事長でアイリスオーヤマ代表取締役会長の大山健太郎氏に聞いた。

INTERVIEW 大山健太郎(仙台フィルハーモニー管弦楽団副理事長)

毎年満席!恒例の東京公演

大山健太郎
写真提供:アイリスオーヤマ株式会社

—— 仙台フィル東京公演も2026年で7回目になります。これまで続けてきた意義と今後の展望についてまずうかがいます。

 仙台フィルの本拠地である日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)は客席数が804席です。仙台フィルはこの比較的狭いコンサートホールで定期演奏会をはじめ主な公演を行ってきました。しかしせっかくの実力のあるオーケストラなので、東京の晴れ舞台で、できればサントリーホールで伸び伸びと演奏してもらおうと考えたのが始まりです。2031年に仙台市に2000席規模の新たな大ホールが完成する計画ですので、それまで東京公演を続けようという発想でした。

 おかげさまで東京公演は毎年満席となり、仙台フィルのメンバーも張り切って演奏してくれています。内容にも一段と磨きがかかっています。アイリスオーヤマの主催ということもあり、当社のお客様や若い社員にも公演を聴いてもらい、好評を博しています。こうした状況から、仙台に新しいホールができてからも、東京公演を続けられるのではないかと思うようになりました。今は東京公演を恒例として続けていきたいと考えています。

パスカル・ヴェロの躍動感あふれるタクトが導く色彩豊かなサウンド

—— 桂冠指揮者のパスカル・ヴェロさんの指揮による今回の東京公演に何を期待しますか。

 ヴェロさんは2006年から2018年の12年間にわたり仙台フィルの常任指揮者を務められました。2018年に桂冠指揮者になってからも仙台フィルと非常に良い関係を保っています。私はヴェロさんのフランス人らしい、明るくて躍動感がある指揮と、色彩豊かな音楽づくりが個人的に好きなのです。
 現在ヴェロさんはフランス在住ですが、「日本で何かイベントがあれば全部来ますよ」と言ってくれています。現在の常任指揮者の高関健さんと指揮者の太田弦さんによる公演は日本でよく聴くことができますが、今回は仙台フィルとの信頼関係の中でヴェロさんにお声掛けしたところ、東京公演の指揮を喜んで引き受けてくださいました。

パスカル・ヴェロ

小曽根真が弾くラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」

—— 今回はピアニストの小曽根真さんがソリストとして共演します。小曽根さんにはどのような期待をしますか。

 小曽根さんは仙台フィルとこれまでも共演をしてもらっています。2016年2月、東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館、仙台市)での仙台フィル特別演奏会では、闘病中だった中村紘子さんに代わって登板し、山田和樹さんの指揮でラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」のピアノ独奏を担っていただきました。このような共演実績もあり、ジャズとクラシックの垣根を超えて世界的に活躍されている小曽根さんにご出演いただくことを軸に企画を始めました。「パガニーニの主題による狂詩曲」は彼の十八番ということからの選曲です。

小曽根真 ©MatsukiKohei

—— 今回の曲目はリムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」とラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」の組み合わせです。聴き手に楽しんでもらいたいポイントを教えてください。

 曲目は私からヴェロさんに相談し、決めさせていただきました。「シェエラザード」は劇的で非常に華やか。音色もたくさん楽しめるので、特に当社の若い社員のようにあまりクラシック音楽を聴く経験のない人たちにもとっつきやすい曲ですね。オーケストラのメンバーにとっても魅力的な曲だと思っています。

 実はウクライナ戦争の件もあって、あまりロシア音楽は取り上げたくなかったのですが、「シェエラザード」の題材は「千夜一夜物語」ですし、中東風の曲調ですよね。フランス人指揮者のヴェロさんによる「シェエラザード」はとても好まれるのではないかと期待しています。

世代交代の進む仙台フィル

—— 特に印象に残った最近の仙台フィルの公演を挙げてください。

 2025年11月15日の特別演奏会「山田和樹×仙台フィルVol.8 凱旋」(ストラヴィンスキー三大バレエ)です。ストラヴィンスキーには難曲が多いのですが、特に「春の祭典」では山田さんの指揮がとても素晴らしくて、ファゴットやオーボエ、トランペットなど管楽器が素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。それが今回の「シェエラザード」の選曲にもつながりました。仙台フィルは世代交代が進んだことも背景にあり、「シェエラザード」の要となるコンサートマスター(ソロヴァイオリン)はもちろんのこと、管楽器でも若手の優れたメンバーがたくさんいます。

 もう一つは2025年12月20日の高関健さんの指揮による「第九」特別演奏会でした。ベートーヴェンの交響曲第9番は毎年演奏しているわけですが、今回は特に高関さんが入れ込んでくれました。私の好みで言いますと、少しメロディアスな、横に流れるような演奏が好きなのですが、高関さんは今回まさにそうした指揮で、本当に感動する最高の「第九」を聴かせてくれました。

—— アイリスオーヤマとしては仙台フィルへの支援をどのように考えていますか。

 私は50年来のクラシック音楽ファンですが、個人の好みは別にして、アイリスオーヤマは地元を代表する企業として、仙台市の文化・芸術に対して可能な限りの協力をしていきます。私は30年近く仙台フィルの理事を務めていまして、現在は副理事長です。また、仙台市は「楽都」と呼ばれています。仙台市からも、仙台国際音楽コンクールなどいろんな形の出演依頼を仙台フィルはいただいています。おかげさまで2024年度の定期演奏会のチケットはすべて完売しました。2031年度には新ホールもできますし、「楽都仙台」の名に恥じない支援を今後も続けたいと考えています。

2024年の東京公演より
写真提供:アイリスオーヤマ株式会社

楽都・仙台を支えるオーケストラに

—— 仙台フィルの役割と展望についてうかがいます。

 仙台市には2031年度に仙台フィルの本拠地として日立システムズホール仙台に代わる2000席の新ホールができるだけでなく、2028年度には2000席の宮城県立劇場も完成する予定です。宮城県立劇場のほうは現在の東京エレクトロンホール宮城の老朽化に伴う移転新築で、現ホールの1590席から大幅に客席が増えて本格的な多目的ホールになります。仙台フィルの公演は完売になってチケット購入をお断りせざるを得ないこともあったため、この二大ホールが開業すれば、そういったセールスの問題もほぼ解決します。

 仙台フィルは「仙台」という都市名を冠していますが、私は東北地方を代表するオーケストラとして頑張ってもらいたいと思っています。今は新幹線で1時間もあれば岩手、福島、山形の各県からも仙台に来られるので、東北各県からお客様を集めるオーケストラとしての役割を果たしていきたいです。山響さんとの連携による合同演奏会(東北UNITED)も続けていきます。

 大ホールが新設されたら、音の響きや音色を楽しめる比較的大掛かりなロマン派音楽をもっと演奏していくべきだと思っています。本格的な作品にも取り組みつつ、親しみやすく分かりやすい作品にも積極的に取り組むことで、クラシックは難しいという印象は払しょくされ、オーケストラを聴いて楽しむ人が増えるのではないかと私は考えています。

取材・文:池上輝彦


アイリスオーヤマ・クラシックスペシャル2026
パスカル・ヴェロ×仙台フィル

2026.6/9(火)19:00 サントリーホール

パスカル・ヴェロ(指揮)
小曽根真(ピアノ)
仙台フィルハーモニー管弦楽団

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 op.43
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 op.35

問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp

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