
右:椎名雄一郎
豊田市コンサートホール・能楽堂の「か〜るくラシック♪」はお昼時に実力派アーティストの多彩なプログラムでクラシック音楽を愉しむ、すでに67回を数える人気企画。3月には「スペシャル版」と銘打ってヴァイオリンの天満敦子とオルガンの椎名雄一郎による「望郷のバラード〜祈り」が開催される。
「祈り」というタイトルが、このコンサートの内容を端的に表している。天満敦子と言えば代名詞にもなっているポルムベスク「望郷のバラード」で、この作品が数奇な運命で天満の手に渡った経緯はあまりにも有名だ。独立運動で獄につながれ病に倒れた早世の作曲家の魂の歌は、2022年の頸椎損傷の手術を経て復活した天満によって、いっそう深い祈りの歌となるだろう。同ホールの専属オルガニストでもあった名手・椎名との共演で、この曲の聖性がさらに輝くに違いない。他の作品も「祈り」を感じさせる名品ぞろいだ。平和とは真逆に向かう世界への「祈り」に耳を傾けよう。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2026年3月号より)
か~るくラシック♪ スペシャル版
天満敦子(ヴァイオリン) × 椎名雄一郎(パイプオルガン) 望郷のバラード~祈り
2026.3/13(金)14:00 豊田市コンサートホール
問:豊田市コンサートホール・能楽堂事務室0565-35-8200
https://www.t-cn.gr.jp

矢澤孝樹 Takaki Yazawa
1969年山梨県塩山市(現・甲州市)生。慶應義塾大学文学部卒。水戸芸術館音楽部門主任学芸員を経て現在ニューロン製菓(株)及び(株)アンデ代表取締役社長。並行して音楽評論活動を行い、『レコード芸術online』『音楽の友』『モーストリークラシック』『ぶらあぼ』『CDジャーナル』にレギュラー執筆。朝日新聞クラシックCD評選者および執筆者。CD及び演奏会解説多数。著書に『マタイ受難曲』(音楽之友社)。ほか共著多数。

