【SACD】ピアノソング/アレクサンドル・タロー

 ゴージャスなアレンジで「パリの空の下」「行かないで」「愛の小径」などのフランス・シャンソンが次々と登場する『ピアノソング』は、アレクサンドル・タローのピアノ小品愛がギュッと詰まった一枚だ。2分から3分程度のトラックが並ぶ全29曲。タロー自身やエル=バシャによるピアノ独奏アレンジ曲のほか、D.スドプラトフによるオーケストラ編曲版も含む。複雑なハーモニーや多彩な楽器の音色を生かしたオーケストラと、タローの小粋で歌心に富むピアノとの共演が、原曲の雰囲気を濃密に届ける。T.ダンフォードのテオルボとのデュオ「灰色の途」にもしみじみ胸を打たれる。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2025年12月号より)

【information】
SACD『ピアノソング/アレクサンドル・タロー』

プーランク:エディット・ピアフへのオマージュ、愛の小径/ユベール・ジロー:パリの空の下/ジャック・ブレル(アブデル・ラーマン・エル=バシャ編):行かないで/アリス・ドナ:灰色の途 他

アレクサンドル・タロー(ピアノ)
トーマス・ダンフォード(テオルボ)
ピエール・デュムソー(指揮)
ボルドー・アキテーヌ国立管弦楽団

ERATO/ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-13878 ¥3410(税込)


飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)

音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。