【CD】デュエット/大石哲史&新井純

 オペラシアターこんにゃく座のスター歌役者・大石哲史の新作は、近年コンサート活動も盛んな新井純と二人で歌ったアルバム。座付作曲家・萩京子による「宮澤賢治の詩による重唱曲集」からの7曲は、賢治が死の床で書いた〈まなこをひらけば四月の風が〉等どれも秀逸で、デュエットだからこそ生まれるドラマが溢れる。林光による〈引き裂かれた愛の歌[2]〉(木島始)〜〈背なかあわせのうた〉(佐藤信)〜〈夫婦〉(谷川俊太郎)等“男女もの”が素晴らしく、“俺とあいつ”“あたしとあんた”で歌い継ぐヴァイル&ブレヒトの名コンビによる〈ヒモの歌〉(訳:山元清多)も圧巻だ。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2025年11月号より)

【information】
CD『デュエット/大石哲史&新井純』

萩京子:馬、林と思想、電車、かはばた、風がおもてで呼んでゐる、丁丁丁丁丁、まなこをひらけば四月の風が/林光:引き裂かれた愛の歌[2]、背なかあわせのうた、夫婦/クルト・ヴァイル:ヒモの歌 他

大石哲史 新井純(以上うた)
服部真理子(ピアノ)

コジマ録音
ALM-7320 ¥3300(税込)