キンボー・イシイ指揮、大阪交響楽団と多彩なプログラムで共演

大阪・すばるホールに、瑞々しくエネルギッシュなサウンドが響き渡る。「THE BEST CONCERTOS 2025」は、大阪交響楽団が若い奏者たちと熱演を繰り広げる特別コンサートだ。ドイツで活躍を重ね、現在は日本を拠点に活動する指揮者キンボー・イシイが、プロオケと若い奏者たちの響きを一つにまとめ上げる。冒頭には夕陽丘高等学校音楽科の学生たちが登場する。同校は大阪府立高校として唯一音楽科を擁し、優れた音楽家たちを輩出している。ワーグナーの歌劇《タンホイザー》から「大行進曲」や「巡礼の合唱」などを高らかに響かせてくれることだろう。

続いて夕陽丘高校出身の若きピアニスト、水谷友彦、原田明里、生熊茜、南杏佳がソリストを務める。いずれも、国内最大級のピアノコンクール「ピティナ・ピアノコンペティション」全国大会出場の経歴を持つ、リサイタル・シリーズ「すばるイブニングコンサート」の歴代出演者たちだ。そのユニークなプログラムにも注目したい。水谷と原田はそれぞれ、ピアノが印象的に活躍するNHK大河ドラマのメインテーマ曲(『おんな城主直虎』と『光る君へ』)を取り上げる。そして、現在は夕陽丘高校で後進の指導にもあたる生熊がサン=サーンスの協奏曲第5番「エジプト風」を、2024年ピティナ特級グランプリに輝いた南はラフマニノフの第2番という注目のピアノ協奏曲を披露する。開演前にはロビーにて大同理紗のピアノ・ソロも。バラエティに富み、聴きごたえのあるコンサートとなるだろう。


文:飯田有抄
THE BEST CONCERTOS 2025
featuring 大阪府立夕陽丘高等学校音楽科
2025.11/8(土)15:00 大阪/すばるホール
◯出演
キンボー・イシイ(指揮)
大阪交響楽団
大阪府立夕陽丘高等学校音楽科(管弦楽・合唱)
大同理紗、水谷友彦、原田明里、生熊茜、南杏佳(以上ピアノ)
◯曲目
♪ワーグナー:歌劇《タンホイザー》より第2幕第4場「大行進曲」、第3幕第1場「巡礼の合唱」、第3幕第3場「終曲」
(共演:大阪府立夕陽丘高等学校音楽科)
NHK大河ドラマメインテーマ曲
♪『おんな城主直虎』より「天虎~虎の女」(ピアノ:水谷友彦)
♪『光る君へ』より「Amethyst」(ピアノ:原田明里)
♪サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」(ピアノ:生熊茜)
♪ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(ピアノ:南杏佳)
※開演前に大同理紗(ピアノ)によるロビー・コンサートあり
問:すばるホール0721-25-0222
http://subaruhall.org

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。


