現音楽監督の大野和士は芸術顧問を経て桂冠指揮者へ、その他のシェフとも引き続き協働
9月24日、東京都交響楽団は2026年度からの新たな指揮者体制を発表した。同年度よりペッカ・クーシスト(アーティスト・イン・レジデンス、2028年度からは首席指揮者)、ダニエーレ・ルスティオーニ(首席客演指揮者)が新たにポストに就任する一方、大野和士をはじめとする現在の指揮者陣とは協働を継続する。
2015年4月より、コロナ禍の困難な時期も含め11シーズンの長きにわたり都響を率いた音楽監督の大野和士。来年3月の任期満了を持って同ポストを退任、26年度からは2年間芸術顧問として引き続き楽団の顔を務めた後、28年度より桂冠指揮者となる。

2028年度からは新たに首席指揮者として、フィンランド出身のペッカ・クーシストが3年の任期で就任。ヘルシンキ・フィル(首席客演指揮者兼芸術共同監督)をはじめ北欧の複数の管弦楽団でポストを持つほか、ヴァイオリニストとしても世界的に活躍を重ねており、即興を得意として特に現代音楽の分野に力を注いでいる。首席指揮者就任に先立ち、26年度から2年間はアーティスト・イン・レジデンスとして指揮者/ヴァイオリン奏者の両面からのコラボレーションを予定。
先日のBBCプロムスでは、芸術監督を務めるノルウェー室内管とフォークやポップスを織り交ぜたプログラムを披露、さらにアンコールではジョン・レノンの「イマジン」を聴かせ平和を呼びかけるなど、強いメッセージを発するアーティストであるだけに、都響でどのような風を吹かせるか期待が高まる。

また、イタリア出身の指揮者ダニエーレ・ルスティオーニが2026年度から首席客演指揮者に就く。任期は3年。欧米の主要歌劇場・オーケストラで精力的に活動を行い、現在、メトロポリタン歌劇場首席客演指揮者、フランス国立リヨン歌劇場名誉音楽監督などを務める。日本デビューとなった2014年二期会《蝶々夫人》での共演以来、都響との信頼関係を深めており、来年1月にはコロナ禍でのキャンセルを経て7年半ぶりのカムバックが予定。レスピーギ「ローマの祭」を軸にした色彩豊かなプログラム(1/15,17)、そしてヴェルディ&ワーグナーのオペラの名曲選(1/23)で、早速その持ち味を堪能することができる。

2018年度から首席客演指揮者を務めてきたアラン・ギルバートは、26年度からは特別客演指揮者/ミュージック・パートナーとして無任期で共演関係を継続する(※サバティカル休暇のため26年の出演予定はなし)。このほか、終身名誉指揮者の小泉和裕、桂冠指揮者のエリアフ・インバルは引き続き現在のポストを務めるという。今年、60周年という一つの節目を迎えた都響が、新たな第一歩として6人の指揮者たちとどのような道を拓いていくのか、見逃せない。

都響公式HPでは各マエストロからのメッセージが掲載!
https://www.tmso.or.jp/j/news/35144/

