「ゴルトベルク変奏曲」のラインベルガーとレーガーによる2台ピアノ版(1883/1915)。主題のアリアから、装飾音が取られて、旋律の印象が変わる。第1変奏ではオブリガードの旋律が加わり、それが雄弁に歌われる。第4変奏では迫力ある和音が鳴り響き、バッハ特有の模倣楽句もくっきりと浮かび上がる。第10変奏フゲッタでは、対位法の各声部がくっきりと弾き分けられて、2台ピアノの強みを発揮。第15変奏反行カノンのミノーレの情感、第25変奏の美しいアリオーソ、第30変奏の喜々としたクォドリベット、味わいを増したアリアまで、聴き所満載だ。同時発売の独奏盤と共に、夭折のピアニスト・佐藤の遺言。
文:横原千史
(ぶらあぼ2025年9月号より)
【information】
CD『J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ラインベルガー&レーガー2台ピアノ版)/塚谷水無子&佐藤祐介』
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ラインベルガー&レーガー2台ピアノ編曲版)
塚谷水無子 佐藤祐介(以上ピアノ)
Pooh’s Hoop
PCD-1706 ¥オープン価格


