
モスクワ生まれのアンドレイ・ググニンは、ウィーン楽友協会やカーネギー・ホール、シドニー・オペラハウスなど各国の一流ホールでのコンサートを重ねるピアニスト。ロシアがウクライナに侵攻した後に祖国を離れ、現在はアムステルダムを拠点に演奏活動を行っている。2023年の来日時には、ウクライナのヴァイオリニスト、A.セメネンコとデュオ・リサイタルを開催し、積極的にウクライナを支援する取り組みがNHKのニュースでも紹介された。
そんなググニンが今回のリサイタルで取り上げるのは、ウクライナにルーツを持つチャイコフスキーの名曲、バレエ音楽「眠れる森の美女」と「くるみ割り人形」のピアノ版(プレトニョフ編)だ。この華麗で立体的な舞踏音楽を、ググニンの推進力にあふれ、多彩な音色で聴ける機会は特別な時間になるだろう。後半は豊かな物語性を感じさせるリストのソナタ。ロシア・ピアニズムを継承するググニンの深いタッチと抒情的な解釈が描く大曲に注目したい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2025年9月号より)
第562回日経ミューズサロン アンドレイ・ググニン 華麗なるピアニズム
2025.9/4(木)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://art.nikkei.com

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。

