アンドレア・バッティストーニ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

俊英の就任披露は《トゥーランドット》!

 春から始まる在京オーケストラの新シーズン最大の話題のひとつは、27歳のイタリアの俊英、アンドレア・バッティストーニが東京フィルの首席客演指揮者に就任することだろう。2012年の東京二期会公演《ナブッコ》で初共演して以来、共演のたびに名演を披露してきた最強の組み合わせが、いよいよ未来を目指して始動する。
 5月に行われる就任披露のコンサートは、このコンビならではの魅力的なプログラム。記念すべき初回は、演奏会形式による《トゥーランドット》(5/17, 5/18)。プッチーニの遺作にして冒険的かつ壮大な傑作《トゥーランドット》は、バッティストーニがヴェローナ音楽祭でも振っている得意の演目。オーケストラ音楽としての効果も満喫できる点で、「演奏会形式に最適」(本人談)だという。主役の2人には、彼が本作で共演した国際的に活躍するティツィアーナ・カルーソー(トゥーランドット/ソプラノ)とカルロ・ヴェントレ(カラフ/テノール)を招聘し、ソプラノの浜田理恵が得意とするリューを歌うなど、キャストも万全。輝かしくダイナミックな演奏が期待できそうだ。
 バッティストーニ&東京フィルのコンビによるもうひとつの柱が、イタリア生まれのオーケストラ音楽の傑作を紹介するシリーズだ。ロッシーニからレスピーギまで時代順に並んだ『東京オペラシティ定期シリーズ』のプログラム(5/21)は、まさに彼でなければできないセレクション。吹奏楽で聴くことの多いレスピーギ「シバの女王ベルキス」がオーケストラで聴けるのも楽しみ。どの曲も「本当に傑作」だと言い切るバッティストーニにより、各曲の個性が際立つ情熱的な演奏が繰り広げられることは間違いない。イタリア音楽の深さ、幅広さを知る上でも絶好のプログラムである。
文:加藤浩子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)

第864回 オーチャード定期演奏会
5/17(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
第865回 サントリー定期シリーズ
5/18(月)19:00 サントリーホール
第94回 東京オペラシティ定期シリーズ
5/21(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522
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