海の京都、森の京都で極上の室内楽を味わう!
京都府内の幅広い地域に一流の音楽を届けるべく創設された、Music Fusion in Kyoto音楽祭。 10月から各地で演奏家が小中学校を訪問する教育プログラムが行われていたなか、10月12日〜19日の週末には、舞鶴市、宮津市、城陽市、長岡京市、京丹波町という5つの街で室内楽コンサートが行われました。その一部のコンサートの様子をレポートします。
取材2日目、10月13日は舞鶴湾に面する海軍ゆかりの街、舞鶴へ。観光名所である赤れんがパークのほど近くにある舞鶴市総合文化会館を会場に、スペシャル・ガラ・コンサートが行われました。Music Fusion in Kyotoにふわさしく「モーツァルトからベニー・グッドマン」と題し、トップアーティストたちが幅広いジャンルの楽曲を披露します。
客席には、子どもたちの姿も多数。モーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのためのデュオ二重奏曲」で林七奈さんと豊嶋泰嗣さんがステージに現れ、揃って一音目を鳴らしたその瞬間、後ろの席に座っていた男の子が思わず「うまっ!」と声をあげ、お母さんに静かにするよう嗜められていたのが印象的でした。おそらくヴァイオリンを習っていると思われるその男の子の中で、一流のプロの音色を生で聴いたこの思い出が、何かの形で生き続けるかもしれません。
ソプラノの林美智子さんによる名アリア、関西弦楽四重奏団やクァルテット・インダコによる室内楽作品、京都出身のパーカッション奏者、斉藤ノヴさんを迎えたジャズナンバー、メイエさんの伸びやかなクラリネット・ソロなど、ジャンルレスかつ華やかな演奏が繰り広げられ、会場は祝祭的な雰囲気に包まれました。
子供の頃、舞鶴を経由して高浜の海水浴場に泳ぎに行っていたという斉藤ノヴさん。ジャズ・ミュージシャンとしてクラシックの演奏家たちと共演した感想を、こう語ってくれました。
「クラシックの演奏家たちは、ジャズと違って長い楽譜に沿って演奏しますから、最初は自分にどんなことができるのだろうと想像がつきませんでした。しかも今回私が渡されたのは、ドラム譜! でも豊嶋さんから、”ノヴさんの好きなようにアレンジしていいよ”と言われたので、コンガとカホンを使って低音にインパクトを出す形にしてみました。コンガを叩いた時、客席のお子さんが体を動かしているのが見えて、あぁ、よかった!と思いましたね」
林美智子さんは、このコンサートの他に学校でのアウトリーチにも参加する。
「最近、これから子どもたちにどんな未来が待っているのだろうと考えるようになり、自分が小さな頃からいただいたものを世の中にお返ししたい、受け継いでいきたいと思うようになりました。今回のような形で、なかなかコンサートに行く機会がない地域の子どもたちに、生の音楽のエネルギーや違いを感じてもえるのはとても嬉しいことです」
この日、自らMCも務めた豊嶋さんは、「探り探りの部分もありながら、お客さんとの距離をなるべく縮めたい、一体間を生み出したいと思いながら演奏会を進めていきました。客席の皆さんも楽しんでくれていたようでよかったです」と、ガラ・コンサートの手応えを語ってくれました。
Music Fusion in Kyoto 音楽祭
https://music-fusion.kyoto