シンフォニック・ジャズの最高峰が日本の気鋭たちと共演!
第6回を迎える「NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇」、5の数字をひとまとまりととらえるなら、5を超えたところでさらなる新たな期待も高まる。そこで登場するのはマリア・シュナイダー、ジャズ・オーケストラのバイタリティを生かしつつ、繊細さとダイナミズム、グラデーションとコントラストを体感させてくれる人物だ。サウンドの魔術師ギル・エヴァンスの助手をつとめ、ただ音楽が知られているだけではない。作品がビッグバンド・サークルで人気の演奏レパートリーとなっている。演奏するひとからも評価が高い。この列島、でもだ。
特筆すべき点をいくつか挙げてみる。まず大きなホールでマリア・シュナイダーが指揮をする。何度か来日している彼女だが、いずれもビッグバンドを率い、ライブハウスでの演奏だった。今回は日本のミュージシャンたち(池本茂貴 isles、特別編成チェンバー・オーケストラ)との演奏。第1部と第2部、フォーマットの違いを対照できるし、どちらのミュージシャンにとっても出会いがもたらすものは大きくなろう。2つめ。マリアの楽曲「Hang Gliding」を挾間美帆があらたにアレンジ、マリアじしんが指揮する。自作のアレンジものを、マリアが作曲者=指揮者の位置から演奏する醍醐味だ。3つめ。ソプラノ・森谷真理を加えた「Carlos Drummond de Andrade Stories」(2008)の日本初演。ジャズうんぬんではなく、現代アメリカのもっとも良質な音楽のひとつが披露される稀有な機会だ。
前世紀末NYでマリアに会ったとき、いつか日本のミュージシャンと一緒に演奏してみたいと言っていた。東京芸術劇場でこのことばが実現される——。
文:小沼純一
(ぶらあぼ2024年7月号より)
2024.7/27 (土)17:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296
https://www.geigeki.jp