東京芸術劇場は、2026年4月1日付で新芸術監督として、音楽部門に指揮者の山田和樹が、また舞台芸術部門に演劇作家、小説家で演劇カンパニー「チェルフィッチュ」主宰の岡田利規が就任することを発表した。現芸術監督の野田秀樹は26年3月31日をもって退任する。
新たに音楽分野の芸術監督として山田を迎えることで、今後は、1999席の座席数を有する日本有数のシンフォニーホールの特性を活かし、音楽公演のクオリティや国内外への発信力をより一層高めることを目指していくという。
就任にあたって山田和樹よるメッセージが発表された。
東京芸術劇場は1990年10月に開館していますが、91年2月には小学6年生だった自分が早くもこの舞台に立っていました。音感教育の成果発表の場で、オーケストラ伴奏で独唱をしたのでした。同世代の中では間違いなく一番乗りでしょう。あの長い長いエスカレーターを見た時の衝撃は忘れられません。当時の自分はそこに東京という街の近未来の姿を見ていたのでした。
そう、私にとって東京芸術劇場というのは近未来の発信の場なのです。開館から34年経っている訳ですが、常に変貌する池袋・豊島区を象徴する建物であることに変わりありません。ここから何が発信できるか。見据えるのは、池袋から世界への発信です。世界から輸入する一方ではなく、輸出側に回る発想を軸にしたいと考えています。
時代はクロスオーバーです。ある一つの文化が放つ光は、また違う文化を照らすという側面がありますから、たくさんの文化が織りなす光は、さながら銀河系の様相を呈しているはずです。「芸劇」がその光の中心となればと思います。
どうせやるなら、今までになかったことをしたい。自分が持つ開拓と反骨の精神をフル活用していければと思います。舞台芸術部門の監督に就任なさる岡田利規さんとのコラボレーションもとても楽しみです。
常に変化しつづける東京芸術劇場にどうぞご期待ください。
山田和樹は、1979年神奈川県生まれ。2009年第51回ブザンソン国際指揮者コンクールでの優勝以来、国内のみならず海外においても目覚ましい活躍を続けている。現在、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、バーミンガム市交響楽団の首席指揮者兼アーティスティックアドバイザー。5月にはアメリカの名門 シカゴ交響楽団へのデビューを予定。また25年6月には、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期公演に共演することが発表され、日本人の指揮者がベルリン・フィルを振るのは2011年の佐渡裕以来14年ぶりとなる。
東京芸術劇場
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