【SACD】モーツァルト:交響曲第31番「パリ」 他/飯森範親&パシフィックフィル

 飯森範親が音楽監督として一昨年、楽団名を新たにスタートさせたパシフィックフィル。その最初のCDは、モーツァルトの初期交響曲のセッション録音で、基本的な合奏力の向上を図るねらいがあるようだ。通奏低音にチェンバロを加える独特の響きは、進行中の日本センチュリー響とのハイドン全集で経験済み。第31番「パリ」は、機動性が抜群で、生き生きと躍動する。ナチュラルな金管とバロック・ティンパニは、リズムに切れ味と響きに拡がりを加える。第23番も溌溂とした運動性が前面に出る。第16&17番は、対位法的な声部の模倣が随所に現れ、表現の幅を広げようとする。飯森の丁寧な指揮も好感がもてる。
文:横原千史
(ぶらあぼ2024年2月号より)

【information】
SACD『モーツァルト:交響曲第31番「パリ」 他/飯森範親&パシフィックフィル』

モーツァルト:交響曲第31番「パリ」、同第23番、同第16番、同第17番

飯森範親(指揮)
パシフィックフィルハーモニア東京

オクタヴィア・レコード
OVCL-00830 ¥3850(税込)