カヴァー歌手に聴く、新国立劇場の底力
新国立劇場が2015年1月、ワーグナーのオペラ《さまよえるオランダ人》を上演する。ワーグナーを得意とする飯守泰次郎がオペラ芸術監督就任後自身の指揮する2作目とあって注目を集めるが、これに先立ち「特別企画」としてピアノ伴奏版(!)による演奏会形式での上演が行われる。指揮は、こちらもワーグナーを得意とする、同劇場音楽チーフの城谷正博。キャストは題名役の小森輝彦以下すべて本公演時のカヴァー歌手陣。ピアノは木下志寿子。
オペラを上演するにあたり、本キャストに代わっていつでも歌える状態でスタンバイするカヴァーの存在はきわめて重要だ。どんな劇場でもカヴァーなしには上演は難しい。同劇場のカヴァー陣には日本を代表する歌手が“綺羅星”のように並んでおり、これまでもファンの間からはカヴァーによるさらなる上演を望む声が上がっていたから、待望の公演だ。また、ピアノ伴奏版による上演とあって、ワーグナーの巨大なオーケストレーションからは聞こえにくかった、より細かいディテールまでをも耳にできる絶好の機会となる。
文:唯野正彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年1月号から)
【特別企画】《さまよえるオランダ人》(演奏会形式)
2015.1/16(金)19:00 新国立劇場(中)
【本公演】 《さまよえるオランダ人》
2015.1/18(日)14:00、1/21(水)14:00、1/25(日)14:00、
1/28(水)19:00、1/31(土)14:00 新国立劇場 オペラパレス
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
http://www.nntt.jac.go.jp/opera