世界遺産で味わう幻想的な野外オペラ
これは小さな村が挑む画期的な試みだ。「沖縄オペラフェスティバル2024」と題した演奏会形式の野外オペラ公演。この1月、プッチーニの名作《ラ・ボエーム》が、世界遺産および国指定史跡・日本100名城に指定された中城(なかぐすく)城跡で、プロジェクションマッピングを交えた演出とともに上演される。北中城村観光協会による意欲的な企画で、中城城跡での野外オペラ公演は史上初だという。
中城城は築城の天才・護佐丸によって15世紀に完成したが、護佐丸は策略によって妻子共々自害した。また《ラ・ボエーム》はパリで貧しい生活を送る若き芸術家とお針子の悲恋の物語。時代に翻弄されたこの2つの物語が現代の城跡で初めて交わる。そこには、こうした物語を様々な文化の結節点であった沖縄の中城城跡で上演することで、コロナ禍や戦争等が続く激動の時代に我々が信念や愛をもって生きていくための壮大な応援歌にしようとの意図がある。指揮は海外の歌劇場で活躍してきた大勝秀也、演奏は実力ある琉球交響楽団。そして、世界的オペラ歌手ジョン・健・ヌッツォ(ロドルフォ役)をはじめ、地元の優秀な歌手や二期会等の歌手が集結する。
中城城跡は、那覇空港から車で45分程の沖縄中部に位置し、標高160mの高台で沖縄本島の約3分の2を見渡すことが可能。しかも会場にはキッチンカーが出店し、県内食材を生かしたお弁当の提供など、食 × 琉球文化 × 西洋文化のちゃんぷるーを五感で体験することもできる。ここは、遠方からも観光を兼ねて訪れ、ダイナミックなドラマを世界遺産の壮大なロケーションで堪能しよう。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年12月号より)
2024.1/13(土)、1/14(日)各日18:00 沖縄/中城城跡
問:北中城村観光協会098-923-5888
https://www.kitapo.jp