多摩地域最大規模の次世代型ホールで盟友とのツアーを始動
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番と、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。「究極」と呼ぶにふさわしい名曲を、絶大な人気を誇るピアニストの辻井伸行とヴァイオリニストの三浦文彰、そしてニール・トムソン指揮する読売日本交響楽団の演奏で聴く「究極の協奏曲コンサート」が、2024年3月22日の立川ステージガーデンを皮切りに全国各地で開催される。これまでもさまざまなソリストとともにこのシリーズに出演してきた辻井に話を聞いた。
「三浦さんとは、2016年の『究極の協奏曲コンサート』のツアーで出会って以来、一緒に食事をしたりお酒を楽しんだり、いろいろなことを話し合う友だちになりました。何度も共演していますが、一緒に演奏していて息が合うのが早いんですね。まさに“阿吽の呼吸”という感じです」
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番といえば、辻井が2009年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールのファイナルで演奏して優勝を飾った曲。それから14年が経ち、作品への向き合い方に変化はあったのだろうか。
「コンクールのときはとても難しく感じて、毎日何時間も必死に練習していたのを覚えていますが、それから100回以上も演奏の機会があり、今では少し余裕も生まれました。表現を深め、より自分の作品として演奏できている感じがあります」
イギリスの指揮者、ニール・トムソンは英国王立音楽大学指揮科の学科長に史上最年少で抜擢された経歴を持つ名匠である。
「ニールさん、読売日本交響楽団の皆さんとは、これまで『究極の協奏曲コンサート』で何度も共演させていただきました。ニールさんは僕の表現したいことをわかってくださるので、とても気持ちよく演奏できます。読響の皆さんもあたたかく迎えてくださり、コミュニケーションをたくさん取ってくださるので、共演はいつも楽しみです」
今回のツアー最初の会場となる立川ステージガーデンは、約2500席のライブエンタテインメントホールで、2階席の後方を開放すると屋外へとつながるユニークな構造が斬新だ。
「以前、立川ステージガーデンで演奏した際にホールの周りを散歩したのですが、自然が豊かで、子どもからお年寄りまでたくさんの方々がいらして、街全体が一体となっている印象を受けました。屋外にも開放して演奏すると多くの皆さまが聴きに来てくださり、普段クラシックに馴染みのない方でも、興味を持ってもらえるきっかけになる場所だなと感じました」
コロナ禍によりコンサートができなかった期間を経て、ふたたび演奏活動の日々が戻ってきた今、また一段、深化した辻井を聴くことができるに違いない。
「コンサートができなかった期間はレパートリーを増やす時間を作ることができました。今は国内外でコンサートが復活してきて、増やしてきたレパートリーを1回1回、心を込めて演奏しようと思っています。引き続き新しい曲にも積極的に挑戦して、技術も磨いていきたいです。あらためて、ツアー中に気分転換で街を散歩したり、人と話したりすることの大切さを感じることができ、演奏以外のことも大切だと思える時間が増えたように思います」
取材・文:原 典子
(ぶらあぼ2023年12月号より)
辻井伸行 × 三浦文彰
ニール・トムソン指揮 読売日本交響楽団 究極の協奏曲コンサート
2024.3/22(金)19:00 立川ステージガーデン
2023.12/11(月)発売
問:日本アーティストチケットセンター03-5305-4545
https://www.t-sg.jp
※全国ツアーの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
https://avex.jp/tsujii/